国土交通省はこのほど、全国の市区町村を対象に実施した「地震時等に著しく危険な密集市街地」の調査結果を発表した。

同調査は、密集市街地のうち、延焼危険性または避難困難性が高く、地震時などにおいて最低限の安全性を確保することが困難、かつ危険性が極めて高い密集市街地を把握するために行われたもの。全国の市区町村を対象に地区概要、面積などについて調査票を配布し、地方公共団体が各地区の危険性を判断し、集計した。

それによると、「著しく危険な密集市街地」は3月1日時点で全国に197地区(5,745ヘクタール)存在することが分かった。都道府県別に見た場合、最も多かったのは東京都の113地区。次いで、神奈川県の25地区、京都府の13地区、大阪府の11地区、徳島県の8地区、兵庫県、高知県、長崎県が同数の4地区、愛知県の3地区、埼玉県、滋賀県、和歌山県、大分県が同数の2地区、千葉県、香川県、愛媛県、沖縄県が同数の1地区となった。

東京都のトップは品川区で23地区。以下、北区の21地区、墨田区の19地区、中野区の9地区、荒川区と足立区が同数の8地区と続いた。一方、大阪府では寝屋川市が最多の3地区。次いで、豊中市と守口市が同数の2地区、大阪市、堺市、門真市、東大阪市が同数の1地区との順となった。

東京都の「地震時等に著しく危険な密集市街地」の区域図(出典:国土交通省Webサイト)

面積別では、大阪府が最も大きく2,248ヘクタール。次いで、東京都の1,683ヘクタール、神奈川県の690ヘクタール、京都府の362ヘクタール、長崎県の262ヘクタール、兵庫県の225ヘクタール、愛知県の104ヘクタール、埼玉県の54ヘクタール、徳島県の30ヘクタール、大分県の26ヘクタールとなった。

大阪府の「地震時等に著しく危険な密集市街地」の区域図(出典:国土交通省Webサイト)

市区町村別の面積を見ると、大阪市がトップで1,333ヘクタール。以下、横浜市の660ヘクタール、墨田区(東京)の389ヘクタール、京都市の357ヘクタール、北区(東京)の270ヘクタール、長崎市の262ヘクタール、品川区の257ヘクタール、豊中市の246ヘクタール、神戸市の225ヘクタール、寝屋川市の216ヘクタールと続いた。

国土交通省および各地方公共団体では、建物の不燃化・耐震化、避難経路および空地の確保、住民啓発などの取り組みを実施し、2020年度までに危険な密集市街地の解消を目指すとしている。