GTLベースで5000MHzをパス

さて、その4.9GHzをさらに超え、5GHzを目指していくことにしよう。ただ、5GHzに関しては、今回も単純に倍率変更だけでは実現できそうにない状況だった。

GIGABYTE TweakLauncher(GTL)を用いてBCLKを初期設定のまま50倍を適用しても、Applyボタンを押した瞬間フリーズが発生する。これはコア電圧その他の設定を何度試しても同様だった。もっとも、これはマザーボードやソフトウェアというより、やはりテストで用いているCore i7-3770K自身のOC耐性に限界が来ているものと思われる。

そこで、50倍の設定には見切りをつけ、49倍に戻したうえでベースクロック(BCLK)を変更していく方法で5GHzを目指してみた。テストにかろうじて成功したのは102.05MHz×49倍=5000MHzという設定だ。なお、5000MHzというのはGTL上での値であり、CPU-Zから見るとBCLKが101.8MHzと若干下がり、49倍の場合4989MHzになる。GTLとCPU-Z、どちらのBCLK表記が正しいのか、という部分にも絡み正真正銘5GHzなのかという点については微妙だ。しかしこのコーナーにおけるOC記録の更新として、この5GHz(仮)の設定を紹介していこう。

5GHz(仮)のコア電圧は1.42Vだ。4.9GHz時と比べると0.036Vほど低い。また、VTTも0.001Vほど引き下げた1.052Vとした。その一方でCPU PLLは1.82Vに高め、IMCとVDDRは(OCへの影響があるのかどうか不明だが)4.9GHz時よりもさらに引き下げている。CPU温度に関してはかなり上がった。先の4.9GHz時ではパッケージ温度が87℃だったが、5GHz(仮)時では96℃に達している。また、この設定にたどり着くまで何度も試行錯誤を繰り返しているが、90℃超の表示と同時にベンチマーク開始直後のCINEBENCHがエラーを起こしていた。失敗した設定では、おそらく100℃を超えていたのではないかと考えられる。

5GHz達成時のスクリーンショット。GTLでは102.05MHz×49倍で5000MHzと表記されているが、CPU-ZではBCLKが101.8MHzとあるのでこの計算だと5GHzにわずかに及ばない

Ivy排熱問題、過激なクーラーか、ヒートスプレッダ割りも視野に

今回、なんとか悲願である5GHzを達成できた。ただし、Core i7-3770Kを空冷でOCするに関しては、このあたりが限界であると思われる。なにしろ4.7GHz、コア電圧を1.4V超に設定するとパッケージ温度はすぐに100℃近くまで跳ね上がるのだ。100℃を超えるとブルースクリーンが表示されたり、あるいは有無も無しにシステムがダウンする。つまり、マザーボードの電源供給能力的にはまだまだ余力があったとしても、CPU側がボトルネックとなり失敗するわけだ。

CPUには個体差があるので、当たりを引く可能性もあるにはあるだろうが、何個も同じCPUを買うというのも現実離れしている。安定したOCを目指すのであれば、ネックはよく言われるIvy Bridge独特のヒートスプレッダの仕様なのであり、(自己責任ではあるが)ヒートスプレッダを割ってグリスを塗り直すか、または過激な冷却能力を持つ冷却クーラーを用意する方が現実的なのかもしれない。5GHz超を空冷OCで目指すユーザーにとって、Ivy BridgeはなんとももどかしいCPUだ。

今回の結果を振り返ると、4.7GHzの設定では同じクロックでもより低い電圧でベンチマークをパスしている。GA-Z77X-UP5 THの進化した電源回路が好成績にも影響していると感じられる結果だ。一方、同じクロックでもパッケージ温度が低下したのは、電源回路や電圧設定のほか、季節的要因も考えられる。季節は秋、さらに冬へと移るなか、室温も低下しOCには好条件が揃ってくる。これからの季節、新しい電源回路を積んだGIGABYTEマザーでOCにチャレンジしてみてはいかがだろうか。