近畿車輛は10日、非電化路線向けの充電型バッテリー電車「Smart BEST」を開発、製作したことを発表した。これに合わせて、JR西日本の営業エリア内で自己充電型バッテリー車両の走行試験を行うことも発表している。
同社は2010年、『架線があってもなくても走行可能なリチウムイオン蓄電池駆動100%低床LRV「ameri TRAM」』を発表。米国各地でデモンストレーション走行を行った。その際、非電化区間で外部から充電することなく長距離を走行できる車両を国内外から強く要望されたという。「Smart BEST」の登場で、低床路面電車と高床近郊形車両の両タイプで架線レス区間を走行する基本技術が開発されたことになる。
「Smart BEST」は自車内で充電する自己完結型の充電型バッテリー電車のプロトタイプとして開発された。大容量のバッテリー電源や小型のエンジン発電機などを搭載し、バッテリーが放電した分だけをエンジン発電機が効率よく充電する。自ら発電し、回生時の電力を自らのバッテリーに回収することで、走行および補助機器(空調機や照明など)における「エネルギーの地産地消」を実現している。
同車両では、従来の気動車と比べて1両あたりのエンジン出力が大幅に減少。エンジンの騒音・振動や排気ガスも軽減し、燃費も向上するなど環境に配慮した車両となる。気動車とは違いモーターで駆動するため、電車と同等の加速・減速性能を持ち、乗務員が操作する機器や配置も電車と共通化できるという。
なお、近畿車輛はJR西日本との業務提携の取り組みの一環として、JR西日本の営業エリア内で自己充電型バッテリー車両の走行試験を行うことも発表。年内に実施すべく調整中で、おもな試験項目としてバッテリー性能検証試験(走行中のバッテリーの充放電状態などの確認)や対環境性能検証試験(走行キロあたりの燃料消費量の確認)などを予定している。