ハンマー衝撃試験
続いて「ハンマー衝撃試験」を見せていただく。使用するのは、先ほどとはうって変わって、まるで物理の授業で使用する実験器具のような機材だ。据え付けられたハンマーは、なんと5kg! これを垂直位置まで上げて手を離すと、振り下ろされたハンマーが、台座のG-SHOCKを直撃するのだ。
小山氏「落下試験も耐衝撃の試験ですが、ハンマーでは確実に『ここ』、というポイントに衝撃を与えることができます。また、落下試験では外装部分にダメージが顕著に出てくるのに対し、こちらは時計内部にダメージを与えられます。それに、ハンマーのときはバンドを外すので(編注:時計本体のみの状態となる)、落下試験時のようにバンドで衝撃が分散してしまうこともありません」
そう言いながら小山氏は、G-SHOCKのスタンダードモデル「GW-5600」を台座にセット。ハンマーを持ち上げて、手を離した。弧の軌跡を描いて振り下ろされるハンマー。ガツッ! という硬質な音とともに吹っ飛ぶGW-5600。そのシーンは、ティーアップされたゴルフボールが猛烈なドライバーショットで打ち抜かれた様子を想起させた。が、GW-5600は何ごともなかったかのように動作している。
小山氏「この試験は時計の表面、側面、裏面と、すべての面に対して行います。G-SHOCKの裏面は金属のフタなので、ここに当たると結構な金属音がしますよ」
―― 自分の時計じゃなくても心臓に悪いですよ。さすがにこの試験は、MR-Gのバーゼル限定モデルにはやらないんでしょうね。
小山氏「もちろんやりますよ(笑)」
―― ええっ! だってプロトタイプとはいえ、漆塗りや人工ルビーを使っていますよね? つまり、そういう高価なパーツにも強度が求められる、と…。
小山氏「そういう高価なパーツに強度を求めるか、ほかの部分で高価なパーツを助けてあげるか、そのどちらも考えて作っています。どんなに高価なパーツを使っていても、G-SHOCKを名乗る以上、そのための基準をクリアしなければなりません。ですから、試験も同様に行います」
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振動試験
振動試験は、振幅の大小や速さなど、さまざまな振動を発生させる大型の振動発生装置を使用して行われる。G-SHOCKの耐振動性が、トラックの走行中の振動、道路工事の転圧機や削岩機などを使うときでも身に付けることを想定しているため。
機械式時計なら一発で壊れてしまいそうな、極めて過酷な環境だ。試験時間は機種によって異なるが、長時間の試験では、方向を変えながら断続的に、トータルで1週間ほど行うケースもあるとのこと。
耐振動モデルに関しては、自動車部品振動試験方法(JIS D1601 4種 A)において、二輪自動車用車載機器等に求められる等級(20Gまでの振動加速度)を参考に、耐振動性能を確認する。
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