驚きのコストパフォーマンス
AMDの「Trinity」こと、新型のAシリーズAPUがついにデビュー、店頭での販売が開始された。解禁時間は午後7時と、通常の営業時間内に設定されていたため"深夜販売"とはならなかったが、平日ながら一部のショップでは購入待ちの行列ができるなど、自作PCユーザーの期待も高いようだ。
Trinityは第2世代のAPUで、第1世代の「Llano」からは、CPUコア、GPUコアともに強化されている。モデルナンバーは5000番台になっているので、3000番台のLlanoとは簡単に区別が付く。登場したのは「A10-5800K」を初めとする6モデルで、スペックと価格は以下の通り。
■各モデルの主な仕様と価格 | ||||
モデル名 | CPUコア | GPUコア | TDP | 価格 |
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A10-5800K | 4コア/3.8GHz | 384コア/800MHz | 100W | 12500円~13000円前後 |
A10-5700 | 4コア/3.4GHz | 384コア/760MHz | 65W | 12000円~12500円前後 |
A8-5600K | 4コア/3.6GHz | 256コア/760MHz | 100W | 9500円~10000円前後 |
A8-5500 | 4コア/3.2GHz | 256コア/760MHz | 65W | 9500円前後 |
A6-5400K | 2コア/3.6GHz | 192コア/760MHz | 65W | 6500円前後 |
A4-5300 | 2コア/3.4GHz | 128コア/724MHz | 65W | 5000円前後 |
全6モデルのうち、半数の3モデルが"K"付きのオーバークロック向けモデル。CPUの最大コア数が4個というのは従来と同じだが、クロックは大幅に引き上げられており、Llano世代の最上位モデルA8-3870Kで3.0GHzだったところ、Trinity世代のA10-5800Kでは定格3.8GHz、ターボ時で4.2GHzとなっている。
GPUは1世代新しく、Radeon HD 7000シリーズになった。A10は384コアの「HD 7660D」、A8は256コアの「HD 7560D」、A6は192コアの「HD 7540D」、A4は128コアの「HD 7480D」をそれぞれ搭載。なお同じHD 7660Dでも、A10-5800KのGPUクロックは、より高速な800MHzに設定されている。
さて、実際のユーザーの反応であるが、多くのショップスタッフが「予想以上」と言うほど、売れ行きは好調。そもそもの"予想"がどのくらいだったのか、という点は少し気になるところだが、"本業"のCPU分野での存在感が低下していた近年のAMDにとって、久しぶりのヒット作になりそう――そんな手応えを感じたことは確かなようだ。
売れ筋は、最上位モデルのA10-5800Kと、その1つ下のA10-5700。5800Kは最上位ながら1万円台前半という低価格が魅力的だし、5700は65W版の最上位モデルとして人気となっているようだ。ただ、これはまだMini-ITXマザーボードが登場していないという事情も影響していると考えられ、今後、発売されれば下位モデルにも動きが出るかもしれない。
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