財務省は9日、海外とのモノやサービスの取引や投資の状況などを示す8月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、8月の経常収支は4,547億円の黒字で、黒字幅は前年同月比で4.2%増加したことが分かった。なお、経常黒字は今年2月以来7カ月連続となる。

8月の経常収支(出典:財務省Webサイト)

貿易・サービス収支は、8,670億円の赤字で、赤字幅は前年同月比189億円の増加。貿易収支の赤字幅が縮小したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、5カ月連続の赤字となった。季節調整値ベースでは、2011年3月から18カ月連続の赤字となる。

貿易収支は、6,445億円の赤字で、赤字幅は前年同月比458億円の減少。これは、EU・中国向けを中心に輸出が減少したものの、原粗油価格の下落などによる輸入の減少が上回ったためと考えられる。

輸出額は4兆8,444億円で、前年同月比2,688億円(5.3%)の減少、輸入額は5兆4,889億円で、同3,146億円(5.4%)の減少。なお、輸出は前年同月比で3カ月連続の減少、輸入は同2カ月ぶりの減少となる。

また、同省関税局がまとめた8月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出に関しては、対米国が前年同月比830億円(10.3%)の増加。一方、対EUは同1,417億円(22.9%)の減、対中国は同1,063億円(9.9%)の減となった。商品別では、金属加工機械が同230億円(23.1%)の増、自動車の部分品が同204億円(8.8%)の増となったのに対し、鉱物性燃料は同443億円(31.7%)の減、船舶は369億円(28.4%)の減、鉄鋼は同261億円(8.3%)の減となった。

輸入については、対中東が前年同月比1,116億円(9.3%)の減、対中国が同945億円(7.3%)の減、対大洋州が同642億円(12.6%)の減少。商品別では、液化天然ガスが同310億円(6.2%増、数量は3%減)増加した一方、原粗油は同882億円(8.5%減、数量は1.0%増)の減、非鉄金属は同511億円(31.4%)の減、石炭が同485億円(20.3%)の減となった。

サービス収支は、2,225億円の赤字で、赤字幅は前年同月比647億円の増加。旅行収支の赤字幅が縮小したものの、輸送収支の赤字幅が拡大し、さらにその他サービス収支の黒字幅が縮小したことが要因と見られる。

所得収支は、1兆3,890億円の黒字で、黒字幅は前年同月比355億円の増加。この理由は、証券投資に係る債券利子などの受取が減少したものの、直接投資収益に係る再投資収益が増加したためと考えられる。

一方、資本収支については、1兆1,472億円の流出超となった。