映画監督の周防正行、俳優の役所広司、女優の草刈民代らが8日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた「周防正行映画祭」の舞台あいさつに出席した。
前列左から、瀬戸朝香、加瀬亮、役所広司、周防正行監督、草刈民代、竹中直人、田口浩正、徳井優 拡大画像を見る |
「周防正行映画祭」は、27日から全国公開される周防監督の最新作『終の信託』の公開記念イベントで、過去作品の『シコふんじゃった。』(1992年)、『Shall we ダンス?』(1996年)、『それでもボクはやってない』(2007年)の3作品を上映。舞台あいさつには、周防監督のほか、役所、草刈、竹中直人、田口浩正、徳井優、加瀬亮、瀬戸朝香と周防作品に馴染みあるキャスト陣が登壇した。
周防監督は「生前葬のようですね。さっき、妻にお葬式はもっと質素にしてと言いました」と照れ笑い。そんな周防監督に、『終の信託』に出演する役所は「僕にとって周防監督作品はパスポートみたいなもの。心から愛しています」と述べ、周防監督の妻で同作の主演を務めた草刈は「家にいると忘れてるけど、今日は改めてすごい人なんだと思い出しました。死ぬまで精進して作品を作っていって下さい」とエールを送った。
過去作品の撮影エピソードが語られる中、周防監督は、『Shall we ダンス?』の撮影終了後に結婚した草刈との慣れ初めについても触れ「毎日2時間くらい電話で話していたので、気があるんじゃないか? とその気になっちゃいました。でも、結婚したら毎日違う人と長電話してるんですけど」と照れながら告白。また、最新作に出演していない竹中は「草刈さんと命懸けの濡れ場を演じました。お互いに歯を磨き合って緊張しましたね」とジョークを飛ばして観客を笑わせつつ、「次の作品は呼んでね。寂しくて寂しくて……」と懇願する場面もあった。
周防監督は「小細工なくけれん味なく映画を作る人」(役所)、「取材力がすごい」(草刈)、「安心して対面出来る監督」(加瀬)などキャスト陣から口々に語られる言葉に「無理やり愛の言葉を言わされてて申し訳ない。役者って本当にすごくて、役のイメージを越えてくるんですよ。僕の方が感謝をしないといけない」と感激し、「ユーモアの全く無い映画を作るとは思って無かったけど、『終の信託』は僕が映画らしい映画を作ろうと思って制作した作品。深く味わって頂きたい」とアピール。最後に「映画は見る人のもので、一人ひとりの中で生きていくもの。良い映画を頑張って作っていきます。死ぬまでは3年に1本は作りたい」と力強く意気込んだ。
映画『終の信託』は、終末医療の現場で描かれる死に直面した江木(役所)と担当医師・綾乃(草刈)の深遠なラブストーリーで、27日から全国公開予定。