10月3日にオープンした「東京ステーションホテル」は、伝統と革新を調和させたグランドホテルだ。伝統を重んじるホテル客室と直営飲食店に対して、テナント店舗は新業態が多い。モダンな中華レストラン、コーススタイルの焼鳥店、リラクゼーション施設など、新しい100年の歴史を刻むスタートにふさわしいラインアップになっている。ここでは飲食店・ショップの新業態について紹介しよう。
喫茶「TORAYA TOKYO」
創業480年の老舗和菓子屋「とらや」のカフェ。ショップコーナーでは、ようかんなどおなじみの和菓子も販売している。「とらやパリ店」から直送するマカロンは、パリを拠点を置く「パティスリー・サダハルアオキ・パリ」の青木定治氏が手がけた。他に青山・六本木などで展開する「TRAYA CAFE」や御殿場の「とらや工房」のお菓子と、「とらや」全ブランドの味がそろう。
すし「青柳」
本店は徳島県鳴門市、東京の料亭「青柳」も日本料理の名店として知られる。その新業態として、すし懐石店をオープン。コースのひとつとして、ほんのひとくちだけ提供される寿司を主役とした。鳴門海峡から届く鯛など新鮮な素材を、「青柳」仕立ての江戸前寿司として提供し、東京で極上の白身の寿司が食べられる店がコンセプトに。
中国料理「Cantonese 燕 KEN TAKASE」
オーナーシェフの高瀬健一氏は、マンダリンオリエンタルホテルの広東料理レストラン「センス」のシェフとしてミシュラン1つ星へ導いた。本場香港へのオマージュと、理想の広東料理を表現するために独立開業したという。洗練されたヨーロピアンスタイルの店内で、旬野菜をふんだんに使った新広東料理を提供する。
鳥料理「瀬尾」
麻布十番の名店「鳥善 瀬尾」初の支店。来店者のペースに合わせて料理を提供するため、カウンタースタイルにこだわったという。焼鳥に火を通す炭はウバメガシの紀州備長炭にこだわる。ワインで始まり、締めに鳥スープと鶏飯のディナースタイルが楽しめる。
イタリアンワインバー「エノテカノリーオ」
かつて四谷にあった隠れ家的レストランが、東京駅地下のまさに隠れ家的一角に復活した。落ち着いて食事を楽しめるリストランテにカウンターのワインバーを併設。日本の旬の素材を活かしたシンプルなイタリア料理。
日本料理「しち十二候」
六本木の日本料理「しち十二候」初の支店。店名は季節を表す「七十二候」(立春・白露などの「二十四節気」をそれぞれ3つに分けた期間)に由来する。100%国内の食材にこだわり、各地から吟味した素材を取り寄せた懐石スタイルの日本料理。4つある個室ではお茶会なども対応するという。
グッズ「松屋東京丸の内」
百貨店の老舗、銀座松屋のコンセプトショップ。東京で活躍するビジネスパーソン、東京の文化を楽しむ国内外のツーリスト、丸の内で働く女性に向けた商品のほか、旅に必要な雑貨、ホテルのパーティに備えたアクセサリーがそろう。日本の伝統工芸をテーマとしたギフト雑貨も用意するとのこと。
「SPA TOKIONE」
ソシエ・ワールドが運営するタラソテラピー主体のスパ。女性だけでなく男性も利用可能。地球の誕生にまつわる「大地」「水」「大気」「植物」の4つのコンセプトに合わせてトリートメント。店名は東京のフランス語「TOKIO」と「寝」「音」「根」の意味を込めた「NE」を合わせたという。5つのシングルトリートメントルームのほか、カップルや友達同士で利用できるペアルームを用意する。
「Premium Lounge THE JEXER TOKYO」
JR東日本グループのジェイアール東日本スポーツが運営する会員制フィットネスラウンジ。首都圏を中心に展開するジェクサー・フィットネスクラブのプレミアクラブとして開店した。少人数会員制により、落ち着いた上質の空間と、最新鋭のフィットネスマシーンを配備。経験豊富なトレーナーがトレーニングメニューをコーディネートする。
「BATH & RELAXING」
東京ステーションホテルが運営する温泉施設。ホテル宿泊者と「SPA TOKIONE」「THE JEXER TOKYO」の利用者限定。人工温泉、人工炭酸泉、冷浴槽、ドライサウナ、スチームサウナ、シャワーを備える。女性向け施設にはパウダールームやリビングを広めに、男性向け施設にはドライサウナを広めにと、仲間同士の語り合いの場を考慮したレイアウトになっている。
新しい東京駅丸の内駅舎は、旅の始まり、旅の終わり、通過点だけではない。集う駅、心身を休める駅でもある。旅人だけではなく、東京駅を利用するすべての人々に心地よい空間と時間を提供してくれそうだ。