9月27日、東芝はレグザの新シリーズ「J7」「Z7」を発表するとともに、2013年春に4K対応テレビの第2弾モデルを発売すると表明した。
Z7シリーズは、最大6chの地上デジタル放送の番組を同時録画でき、一時的に保存する「タイムシフトマシン」機能を搭載したテレビだ。55V型、47V型、42V型の3サイズを揃え、価格はオープン、店頭予想価格は42V型で180,000円前後から。
同時に発表したJ7シリーズは、地上デジタルチューナー×3基、BS/110度CSデジタルチューナー×2基を備えるが、タイムシフト機能は搭載しない。65V型、50V型、40V型、32V型の4サイズがラインナップされ、店頭予想価格は42V型で180,000円前後から。
新レグザの大きな特徴となっているのが、Z7とJ7に新たに提供される、「TimeOn」と呼ばれるクラウドサービスだ。
東芝の考えるクラウドサービス
"レグザクラウドサービス"と銘打たれたTimeOnは、データ共有など一般的に想定されるクラウドサービスとは若干異なり、レグザで録画した番組をいかに効率良く消費できるかに注力したサービスと言えるだろう。新製品発表会の冒頭で、同社の執行役専務であり、デジタルプロダクツ&サービス社の社長でもある深串方彦氏は、このように語っている。
「当社の考えるクラウドサービスは、スマートフォンなどのアプリ画面をテレビで再現することではありません。テレビ番組をとことん楽しむことを原点に、今までにない全く新しいアプローチを展開するのが、当社のレグザクラウドサービス『TimeOn』です」(深串氏)
TimeOnは、地上波番組のシーンやキーワードなどのタグ情報を提供/管理/共有するサービスで、利用するには基本的にインターネットへの接続が必要だ。具体的なサービス内容としては、録画番組の特定シーンをダイレクトに再生したり、番組情報を友人と共有したり、といったことが、リモコン操作で行える。
TimeOnを利用したサービスには、「あなた好みの番組を次から次へと楽しめる」「自分では気がつかなかった面白い番組を発見できる」「自分のお気に入りの番組をすぐに見られる」「話題のキーワードに関するシーンをすぐに見られる」「見たいシーンにピンポイントでジャンプできる」という5つの特徴があるという。
TimeOnのサービスの1つ「見どころシーン再生」は、クラウド上で提供されているタグ情報から見たいシーンを選ぶだけで、そのシーンが再生できる機能。キーワード検索や、「Yahoo!検索」の急上昇ワードに関するシーンを一覧表示することもできる。
また、タグ情報を利用する「気になるシーンリスト」は、録画番組の再生中に、その番組のシーンリストを表示し、見たい場面をダイレクトに再生できる。これらの機能の検索対象は、Z7シリーズの場合はタイムシフトマシンで一時保存されている番組で、J7シリーズの場合は、通常録画された番組になる。
タイムシフトマシン機能を搭載したテレビでは、あまりにも多くの番組が保存されるため、どれを見たらよいのかわからない、あるいは結局見ないというケースも少なくない。
そこでZ7シリーズに新しく採用されたのが、同社が「ざんまいプレイ」と呼ぶ機能。ざんまいプレイは、タイムシフトマシン領域に保存された番組の中からユーザーの好みに合う番組を表示するもの。
ざんまいプレイには、「いつもの番組」「みんなのおすすめ番組」「急上昇ワード」「ほかにもこんな番組」といった機能が存在する。「いつもの番組」は、録画番組の視聴履歴から、ユーザーがいつも視聴している番組を表示。「みんなのおすすめ番組」は、クラウド情報を利用して、全国のユーザーが録画予約している番組を表示する。
同社のレコーダーが採用する「おすすめサービス」に近いが、「おすすめサービス」はそれをもとに録画予約を行うものだ。しかし、ざんまいプレイの「みんなのおすすめ番組」は、タイムシフトマシンの録画番組の中から検索されるため、気になる番組をその場で視聴できる。
また、急上昇ワードは、話題の人物やワードに関連した番組をリスト表示するもの。「ほかにもこんな番組」は、視聴中の番組と関連した番組をサムネイル表示するというものだ。これらのの機能のうちのいくつかも、やはりTimeOnの機能を利用している。
4K対応テレビの今後の展開
4K対応テレビについて深串氏は、4K対応テレビの強化は重要な戦略の一つとし、2013年春に第2世代となる4K対応テレビを商品化するとアナウンスした。
「80V型を筆頭に、60V型台、50V型台の3ラインナップで、クラウドサービスに対応したモデルを、グローバル市場に向けて投入します。そして、2013年に4K出力対応dynabookを商品化いたします。これによりリアリティあふれる4KのPCゲームを楽しんだり、PC内の写真やWebブラウジングを高精細で楽しむことができます」(深串氏)
4Kテレビに搭載される映像エンジンは「レグザエンジンCEVO 4K」。3次元フレーム超解像など、多彩な超解像技術が盛り込まれており、4Kの精細感が蘇る「4K微細テクスチャー復元機能」や、きらめく輝き感を実現した「4K輝き復元機能」により、BDなどのハイビジョンソースを4Kの高精細映像に復元する。
なお、発表会後の質疑応答で、2013年に発売する4K対応テレビの価格や、4K製品の普及時期についての質問が挙げられた。それに対して深串氏は次のようにコメントしている。
「来年の春に、現在の4K対応テレビよりもさらに高画質な、4Kの第2世代モデルをリリースします。その時点で、製品の価値にふさわしく、かつ、ユーザーが購入可能な価格を設定する予定です」(深串氏)
また、普及時期については次のように答えている。
「我々は、既に4Kの時代になったと考えています。BDの映画は潜在的に4Kの画質を持っています。デジタルカメラの画質も同様です。それらをアップコンバートして4Kにする技術も開発しました。映画をより高精細にみたいというニーズは高まっており、来年ぐらいから本格的に普及段階に入るでしょう」(串深氏)