日本のみならず、海外で事業を展開する企業が増加している現在、ビジネスの国際化は加速している。これは、日本の少子高齢化問題やGDPの低下などが背景にあるといわれており、いつ自分の会社が海外展開してもおかしくない時代が到来している。
では、海外展開する企業では、どのような人材が求められているのだろうか。『異業種トップ対談:アルビレックス新潟シンガポール×バリューコマース』と題して、成果報酬型広告「アフィリエイト広告」を中心としたインターネット広告の配信ならびにコンサルティングサービスを提供しているバリューコマース 代表取締役社長執行役員 飯塚洋一氏と、アルビレックス新潟シンガポール CEO 是永大輔氏に、海外展開するにあたり、求められている人材について語っていただいた。
名前(ふりがな) | 飯塚 洋一(いいづか よういち) |
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生年月日、血液型 | 1949年3月24日、A型 |
平均睡眠時間、起床時間 | 5~6時間、7:00起床 |
趣味 | 音楽、読書、ゴルフ |
休日の過ごし方 | 娘と買い物 |
オススメの書籍 | 島耕作シリーズ |
家族構成 | 妻、娘 |
今までに訪れた国 | 60カ国以上 |
初めての海外旅行・出張で訪れた国 | アメリカ(ロサンゼルス) |
座右の銘 | 日進月歩 |
好きな女優 | 綾瀬はるか、米倉涼子 |
好きな映画 | ベン・ハー |
子どものころにあこがれた職業 | 商社マン(父親が商社マンだった) |
学生時代のクラブ・サークル活動 | テニスサークル、フランス文化研究会 |
お名前(ふりがな) | 是永 大輔(これなが だいすけ) |
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生年月日、血液型 | 1977年5月10日、A型 |
平均睡眠時間、起床時間 | 6時間、7:30起床 |
趣味 | サッカー |
休日の過ごし方 | サッカー(プレー、観戦) |
オススメの書籍 | 経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ |
家族構成 | 妻、娘 |
今までに訪れた国 | 23カ国 |
初めての海外旅行・出張で訪れた国 | スペイン |
座右の銘 | やらずに悔やむよりやって悔やめ |
好きな歌手 | Hi-STANDARD |
好きな映画 | La vita e bella |
子どものころにあこがれた職業 | サッカー選手 |
学生時代の部活動 | サッカー部 |
英語力は二の次。「やる気」を大切にしたい
――飯塚社長はフランス留学やアフリカ・中東など、海外駐在歴もあるとのことですが、その時の経験を教えて下さい。
飯塚氏「私の父は商社マンだったので、幼少から海外になじみがありました。ですので、とくに抵抗はありませんでしたね。中東勤務は予想外でしたけど、さまざまな経験ができたのは、自分の人生の中で大きかったです」
――是永社長はモバイルを中心としたサッカージャーナリストとして活躍されていたそうですが、どのような経緯でサッカーチームのCEOに就任されたのでしょうか。
是永氏「前任者が辞めるということで、新潟の関係者の方から誰かいい人はいないかと聞かれたのです。
すかさず手を挙げ、それから話はとんとんと進み、話をいただいてから半年もたたずにシンガポールへ行きました。実はそれまで、シンガポールへは行ったこともなかったんですけどね」
――海外経験のあるお二人からみて、若者の海外離れが叫ばれている現状についてどう思われますか?
飯塚氏「環境が整っているにもかかわらず、日本人はなかなか海外で働きたがらない。これからは、企業も海外を視野にいれてビジネスをします。そういった中で、若い人には、もっとチャレンジ精神を持ってほしいですね」
是永氏「若い人が海外に行きたがらないことが心配です。中学レベルの英語ができるのなら、『英語を話せる』と言っていいと思うのですが、日本人に英語が話せるかと尋ねても、堂々と手を挙げる人がほとんどいない。高度な英語が喋れることよりも、マインドが重要だと思います」
飯塚氏「確かに、文法がわからなくても、熱意があれば、外国人との会話は成立します。日本人はきちんと話せなくてはいけないという意識が強く、一歩踏み出せない人が多い。例えば、会社で外国人との懇親会を開いても、日本人は恥ずかしがって参加しない人が多い。もっと積極性を持ってほしいです」
チャレンジ! チャレンジ! チャレンジ!
飯塚氏「アルビレックス新潟シンガポールを特集したサッカー番組を拝見しました。是永さんの指導で、何歳で何をしているかなど、未来年表を選手の皆さんに書かせるそうですね」
是永氏「これは経験からのアイデアなのですが、自分は20歳のときに、目標を100個ほど箇条書きで書きました。日本と海外のかけはしになりたい、サッカークラブの社長になるなど、当時の自分の置かれている環境からすれば夢物語ばかり。けれど、ほとんどの夢は叶いました。
この経験から、選手たちには自分の目標や夢をできるだけ細かく書くように指導しています。きれいな奥さんがほしいとか、年棒はいくらほしいとか、内容は具体的であれば、何でもいいのです。また、上昇志向が重要で、書くことでそれらを磨いてほしいと思っています」
飯塚氏「欧米人はマインドが高いですよね。若くして成功したい人もいれば、普通に暮らしたい人など様々ですが、考え方は違っても、必ず何か目的を持っている。しかし、日本では、そこまでではないですよね。それだけ日本は生活しやすく、現状に満足しているのかもしれません」
新興国の成長が日本経済を脅かす
――日本を取り巻く現状を教えていただけますか?
飯塚氏「GDPの下落や少子高齢化も一因ではありますが、日本のプレゼンス(存在感)そのものが下がっているように感じます。実際に、昔と比べて海外のクライアントとアポイントがとりにくくなりました。
また、インターネットが普及し、新興国が力をつけてきています。BRICs(経済成長の著しいブラジル、ロシア、インド、中国の総称)もさらに伸びる可能性がある。これも、日本のプレゼンスが下がっている原因だと思います。
このままでは、日本はどんどん弱体化してしまうでしょう。これから海外の市場を開拓することで、日本全体の活性化にもつながると考えています」
是永氏「アジアの国々が世界を追いかけるスピードはすさまじいですよね。ついこの間まで白黒画面のシンプルな携帯電話を使っていたかと思えば、日本で一時代を築いた折りたたみ式のカラー携帯電話を飛び越えて、スマートフォンを使っている。
彼らの多くは英語力がありますので、留学先の選定をするとき当たり前のようにアメリカやイギリスなどを選びます。一昔前は、それでも日本へ留学するアジアの学生は多かったのですが、今では激減しています。少子高齢化に始まる日本の課題の多くが、これから可能性のある国と思わせていないようです」
飯塚氏「日本の大学は留学生を受け入れるけれど、卒業後に働く仕組みがまだ整っていませんよね。これも日本離れの一因かもしれません」
与えられたチャンスを自分のものにしてほしい
――日本は国際社会では苦境に立たされているのですね。このような状況下、海外で事業を展開するにあたり、どのような人材が求められるでしょうか?
飯塚氏「若い頃は失敗してもいいのです。上司がフォローしてくれますし、その責任も上司にあります。しかし、リスクがあることに手を挙げる人が少ない。結果はもちろん重要ですが、まずはチャレンジする気概がほしいです。
例えば、旅行で海外に行く場合、その国について調べるでしょう。仕事も同じで、ちょっとした欲が仕事を作ると思うのです。また、私欲をいかに公益に変えられるかが重要です」
是永氏「きっかけは私欲でもいいですよね。最終的に、それが社会にどのようなメリットを与えるか落とし込むことが重要です。例えば、アルビレックス新潟シンガポールの場合、選手がうちのクラブにずっといるとは思っていません。選手たちには、シンガポールで日本と海外の違いを肌で感じてもらい、明確な結果を残すことによって1~2年でもっと待遇の良いクラブに海外移籍してもらう。さらに彼らが、その経験を日本に持ち帰ることによって、日本のサッカー界が盛り上がることにつながると思っています」
海外で戦える力を養うことが、日本の未来を明るくする
――バリューコマースはこれから海外へ本格的に進出するとのことですが、どのようなビジョンかお聞かせください。
飯塚氏「収益の基本は日本ですが、海外市場の開拓を年内にはスタートさせる予定です。中国では日本製の子供服や粉ミルクが安全性の高さから人気ですし、台湾ではフィギュアやカメラといった日本製品に注目が集まっています。日本製品は近隣諸国で売れるチャンスがあります。
そういったmade in Japanの商品ニーズから、インターネット広告を展開したいというクライアントも多く、チャンスがあります。先のアジアへの広告展開だけではなく、ドイツなどの欧米でも展開したいとおっしゃるクライアントも多い。ビジネスチャンスはたくさんあります。
こういった海外業務には、やはりマインド。これから当社で働いていただける方には、オールラウンドに興味を持っていただきたいですね」
――アルビレックス新潟シンガポールでは、シンガポール以外にも海外展開は考えていらっしゃいますか?
是永氏「現在、ポルトガル2部のクラブとパートナー契約を結んでいますが、それ以外にもスペインのバルセロナにアルビレックス新潟バルセロナというクラブを作る予定です。サッカーの世界では、ヨーロッパで認められてナンボですので、シンガポールをステップにして、ヨーロッパで夢を実現できる道筋を作っています。
日本の周りの国が強くなれば、日本のサッカーも強くなると信じています。アジア全体のレベルがアップすれば、日本サッカーもおのずと強化されるはずです。
また、選手たちには海外でプレーした経験などを子どもたちに伝えてほしいと願っています。それが、日本のためになるはずですし、サッカーで世界をつなぐかけ橋になりますから」
海外に興味がありながらも、語学力などの面で一歩を踏み出せない人も多いかもしれない。しかし、まずは熱いマインドを持って飛び込めば、夢は実現できる。やりたい気持ちを大切にし、勇気を出して羽ばたいてみてはいかがだろうか。