IT市場的だけでなく、我々エンドユーザーの利便性を高める意味でも重要性を増してきたオンラインストレージ。Microsoftが運営する同サービス「SkyDrive」は、Windows 8によるWindowsストアアプリとの連動により、その存在はますます大きくなるだろう。そこで今週は昨日発表された「SkyDrive」の「ごみ箱」サポート機能を踏まえ、同機能の具体的な内容を検証する。

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「ごみ箱」機能のサポートで信頼性を高めた「SkyDrive」

本誌でも報じられたとおり、MicrosoftのオンラインストレージサービスであるSkyDriveが「ごみ箱」機能をサポートした。同機能はWindows OSの同名機能と同じく、ファイルやフォルダーを削除する直前に「ごみ箱」という名前を持つ特殊フォルダーに移動。完全削除する場合は「ごみ箱を空にする」を実行するという、慣れ親しんだ機能のSkyDrive版だ。SkyDriveの詳細については、以前詳細なハウツーをお届けしている。

今まで存在しなかったのが不思議なくらいだが、SkyDriveグループのプログラムマネージャーであるOmar Shahine(オマル・シャヒーン)氏は、多くのユーザーから強いリクエストを受け付けることで対応することに至ったとブログで述べている。

機能概要は前述したニュース記事で述べられているので、本レポートではその使い方を検証してみよう。ごみ箱自体は左ペインの下方に設けられ、通常のフォルダーとは別の立ち位置に置かれている。また、従来の<削除>はファイルやフォルダーをごみ箱へ移動させる操作に変更された。この操作を実行すると画面右下隅に削除(ごみ箱へ移動)を実行した旨を示すポップアップメッセージが現れる。ポップアップ内の<すべて元に戻す>ボタンをクリックすれば、削除(ごみ箱へ移動)操作をキャンセルするという仕組みだ(図01~03)。

図01 SkyDriveのトップページ。左ペインの下方に「ごみ箱」が追加されている

図02 ファイルやフォルダーのコンテキストメニューにある<削除>はごみ箱へ移動する機能に変更されている

図03 削除を実行すると画面右下隅に、ごみ箱へファイル/フォルダーを移動した旨を示すポップアップメッセージが表示される

今度は「ごみ箱」フォルダーを開いてみよう。基本的な表示形式や操作は通常のフォルダーと同じ。対象となるファイル/フォルダーに対してはチェックボックスが用意され、コンテキストメニューから元のフォルダーに戻す<復元>や完全削除を実行する<削除>を実行できる。誤ってファイルを削除しないように、確認をうながすメッセージも現れ、削除後は結果を示すポップアップメッセージも用意。このような流れでSkyDriveのファイル管理は行われる(図04~06)。

図04 削除対象となるファイルやフォルダーを選択して右クリック。コンテキストメニューから<削除>をクリックする

図05 削除の確認をうながすメッセージが現れる。問題がなければそのまま<削除>ボタンをクリック

図06 画面右下隅には、削除を実行した旨を示すポップアップメッセージが現れる

なお、ごみ箱に移動したファイル/フォルダーは、SkyDriveで使用可能な容量に左右されず、最低三日間の完全保持を実現。使用可能な容量の10パーセントを超えると古いファイル/フォルダーから削除が始まり、30日間を過ぎるとすべてのファイル/フォルダーが完全に削除されるという。この「ごみ箱」を加えたことでSkyDriveは、ローカルストレージの延長上にあるストレージスペースとしての地位を一歩高めたといっても過言ではないだろう。

執筆時点(9月21日)で、Windowsストアアプリである「SkyDrive」は、同機能に対応しておらず、ごみ箱へのアクセスおよび操作はWebブラウザーを使用しなければならない。また、SkyDrive for Windowsによるローカルストレージとの共有動作だが、オンラインストレージ上で削除(ごみ箱兵道)したファイル/フォルダーはローカルのSkyDriveフォルダーからも削除される。その逆の動作としてローカルのSkyDriveフォルダーでファイル/フォルダーを削除すると、オンラインストレージ上のSkyDriveでも「ごみ箱」に移動することを確認した。

ますます便利になるSkyDriveだが、同様に他のコンピューター上にあるリソースを使用するという点では共有フォルダーも同じだろう。同機能を実現するSMB(Server Message Block)の歴史は古く、現在でも更新し続けている。しかしながら、共有フォルダー上のファイル削除は完全削除と同義のため、アクセス権に気を配らなくてはならない。

個人的には、SMBプロトコルおよびMicrosoft独自実装をオープンソースで再実装した「Samba(サンバ)」のRecycle Bin機能と同等の機能を実装してくれれば済む話。Windows Server 2003以降はVSS(Volume Shadow Copy Service)を使用した「共有フォルダーのシャドウコピー」で、一定時間ごとにスナップショットを作成できるため、擬似的ながら削除したファイルを復元できるものの、クライアントOSに実装される気配はない。

SkyDriveの機能拡張で共有フォルダーのことを思い出したが、「ごみ箱」という存在が我々のファイル操作および管理に与える影響は大きい。ネットワーク環境の強化やインフラの成長によって利便性が向上するSkyDriveは、今後も注視すべき存在となるだろう。

図07 サーバーOSでは、共有フォルダーにVSSを適用することでファイルの復元を可能できる(画面はWindows Server 2008 R2)

阿久津良和(Cactus)