カシオ計算機は、世界最大の写真関連見本市「photokina 2012」にてデジタルカメラの新機種「EXILIM EX-ZR1000」を公開した。レンズ部にファンクションダイヤルを設けて操作性を高め、画像処理エンジン「EXILIM Engine HS」は3.0にバージョンアップ。UIも一新させている。
EXILIM EX-ZR1000は、EXILIMシリーズのフラッグシップモデルに位置付けられ、ファンクションダイヤルや高級感のあるデザインを採用。有効画素数1,610万画素CMOSセンサーに、35mm換算24~300mmの光学12.5倍ズームレンズを搭載する。背面の液晶は3.0型960×480(46万800ドット)で、上方向に180度回転するチルト型を採用している。
EXILIM Engine HSは、高速動作を可能にしたデュアルプロセッサのシステムだが、今回UI刷新のために更新をかけている。このエンジンではリコンフィギュラブルと呼ばれる構造を採用しており、ハードウェアを変更しないで、新機能を搭載できた。
撮影間隔0.26秒、起動時間0.99秒、レリーズタイムラグ0.016秒、AFスピード0.15秒という快速動作は変わらず、サクサクとした動作を実現している。UIの刷新では、VGA対応フォントを搭載し、レンズ周辺のファンクションダイヤルを使った操作に最適なデザインを採用した。
背面液晶は高解像度で、文字が高精細になり、見栄えが良くなった。チルト式液晶は独特の動きで、まず液晶を真上に引き出し、画面下部を持ち上げることでチルトし、ローアングルでの撮影に適したスタイルになる。そのまま180度まで回転するため、液晶が正面を向き、画面を見ながら自分撮りが簡単に行える。
面白いのは、液晶をチルトさせると隠れたスタンドが現れ、これを使うことで縦置きができる点。三脚がなくても、カメラを固定しての記念撮影などに使える。ただし、チルトは上方向だけで、下に向けることはできず、ハイアングル撮影では使えないのは残念だ(カメラ本体を逆さまに構えることで、ハイアングル撮影に応用できる。この場合、シャッターボタンを下から上に押すことになる)。
背面には十字キーが一体となった電子ダイヤルもあり、2つのダイヤルで操作できる。液晶モニタのメニューはダイヤルを想定した円形のUIになっており、分かりやすく、素早い設定が可能。UIの動作は滑らかで快適だった。ファンクションダイヤルには、ステップアップズームやホワイトバランス、露出補正などが割り当てられ、モードダイヤルごとに設定を保存できるので、モードを切り替えて素早い設定が可能になっている。
高速性を生かしたプレミアムオートPRO、連写と画像合成によるHDR・HDR ART、360度パノラマといった機能も健在。アートショットでは、HDRをのぞいて撮影時に効果を確認しながら撮影できるようになったほか、動画にもアートショット機能を適用できるようになった。また、移動する被写体を連写で撮影する際に、AFを追従させることも可能になっている。この場合、連写速度が6コマ/秒まで落ちるが(通常連写は最大30コマ/秒)、AFを追従させながら連写できるのはありがたい。
連写合成での背景ぼかし機能も搭載し、さらにその逆の全体にピントを合わせる「All-In-One Macro」機能を備え、近景と遠景が同時にあるシーンでも、どちらにもピントの合った写真が撮影できる。
EX-ZR1000は、EXILIMシリーズのフラッグシップモデルとして、カメラらしいデザイン、チルト液晶、高倍率ズーム、高速性といった特徴に加え、UIの変更とダイヤルによる使い勝手の向上が図られ、完成度の高いコンパクトデジタルカメラに仕上がっていた。ブースでは日本から持ち込んだジオラマを使い、All-In-One Macro機能や連写、AFの追従などの効果を試せるようになっており、来場者の注目を集めていた。欧州では11月の発売で、価格は299ユーロ程度の見込み。日本での発売は未定。
EXILIMの10周年アニバーサリーモデルなども
なお、同社のデジタルカメラブランド、EXILIMシリーズは、2002年のEXILIM EX-S1から始まり10年がたった。これを記念して、特別な化粧箱に収められ、本革のケースが付属したEX-ZR1000も発売する。
そのほかの新製品としては、高倍率ズーム機の「EXILIM EX-H50」も出展。有効1,610万画素1/2.3インチCCDを搭載し、35mm換算25~600mmの光学12倍ズームレンズを搭載している。
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