約0.2mm削減されたキーストロークの影響は?

さて、ThinkPadといえば誰もが気にする部分といえば、キーボードだろう。完成度の高いキーボードを使うために、数あるノートPCからThinkPadを選択するというユーザーも多い。

一方で、薄さを追求するときに犠牲になりやすいのがキーボード。薄型ノートPCユーザーの中には、キーボードの使いやすさや打鍵感に納得できずに妥協している人もいるのではないだろうか。

X1 Carbonのキーボードは、X1や2012年6月に発表された製品と同様の6列のアイソレーションキーボードをベースにしているが、6列目のFキー間の仕切りが復活するほか、キーのガタ付きを抑えるなど細かい見直しが入っている。

X1 Carbonのキーボード。FnとCtrlはBIOSから入れ替えが可能

T430sのキーボード

T430sのキーボード(右)では、6列目のFキー間には隙間のないフラットなものだが、X1 Carbonのキーボード(左)ではFキー間の隙間が復活

最も大きな変更点は薄型化によるキーストロークの変更だ。これまでThinkpadでは約2mmのキーストロークが確保されていたという。しかし、X1 Carbonでは約1.8mmと薄型化のために0.2mmほどキーストロークが削減された。

X1 Carbonの発表に合わせて行われた技術説明会では、キーストロークについて「限りなく1.9mmに近い1.8mm」という説明があった。量産時の個体差も考慮し、カタログスペックとしては1.8mmとしているという

ほかの薄型ノートPCが、およそ1mm前後のキーストロークであることを考えると、十分に深いストロークといえるのだが、「あのThinkPad」がキーストロークを削減したことに驚きを隠せない。

「ああ、ThinkPadよ。お前もか……」という気持ちになりかけていたが、実際にキーボードを打ってみると、そんな懐疑的な気分も吹き飛んだ。

打ち味は「コクッ」としたクリック感というべきか、しっかりとした打鍵感がある。決して硬いわけではない、かといって反発力が強くてふかふかするというわけでもない、押したキーがそのままするっと入っていき、はなすとすっとキーが戻ってくる。くせになる打ち味だ。

ある程度力を入れて、たたきつけるように打ち込んでも、たわみもせずにがっちりと受け止めてくれる安心感がある。

どんなキーボードでも、初めて触れるときは「慣れるまでちょっとかかるかも」という予感を抱きつつ、指になじませていくものだが、X1 Carbonのキーボードは最初からスムーズに打ち込める。数あるUltrabookの中でも最高峰のキーボードではないだろうか。ただ、本レビューで使用している評価機の場合、おそらく個体差によるものだと思うが、「N」「M」「,」あたりのキーに若干がたつきを感じた。

トラックポイントやタッチパッドは変わらず搭載されているが、タッチパッドはガラスに特殊な表面処理を施したもので、シルクのようなさわり心地だ

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