電気事業連合会(以下、電事連)はこのほど、2012年7月~8月の発受電速報(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄計10社合計)を発表した。それによると、今夏の最大電力は7月27日に記録した1億5,595万キロワットとなり、前年最大時(2011年8月10日)と比較すると0.4%減、猛暑となった2010年最大時(2010年8月23日)より12.3%減少したことがわかった。

各社別最大電力をみると、東北、東京、中国、沖縄を除く6社が前年を下回っているほか、2010年と比べると沖縄以外はすべて1割前後下回る結果となった。

10社合計最大電力を過去10年間の最高気温の平均値(34.6℃)に補正すると、今夏は2000年以降最低となる1億5,535万キロワットを記録。2010年と比較すると11.1%減、節電を呼びかけた2011年も1億5,553万キロワットと2番目に低いことから、節電による影響が大きいと考えられる。

7~8月の発受電電力量は10社合計で1,677億4400万キロワットアワーとなり、対前年比0.2%増、2010年度比10%減。各社別の内訳は、前年に震災影響と電力使用制限のあった東京、東北の2社は前年を上回ったのに対し、沖縄を除く残りの7社については前年を下回った。

電事連の八木誠会長(関西電力社長)は、節電に取り組んだ国民や企業に感謝並びに謝罪の言葉を述べるとともに、「革新的エネルギー・環境戦略」に関するコメントを発表。

それによると、9月6日に民主党から「2030年代には原子力ゼロ社会を目指す」との提言が行われたことに対して、八木会長は「仮に原子力という選択肢をなくした場合、エネルギーの安全保障はもとより、化石燃料費の増大による国富の流出、ひいては電気料金の上昇といった経済や国民生活レベルでの問題、地球温暖化問題への対応、さらには、廃炉も含め、原子力に必要な人材確保など、様々な面で極めて大きなマイナスの影響を及ぼすことが予想される」と指摘した。

その上で「原子力ゼロを目指すという方針を決定するということであれば、あまりにも大きい課題が山積する政策であり、大変憂慮すべきものであると言わざるを得ない」と提言を批判。

今後のエネルギー政策について「原子燃料サイクルを進めるとともに、原子力発電を今後も重要な電源として活用していく必要がある(中略)エネルギー資源の多様性を確保するため、原子力という選択肢を捨てることなく、そして、多くの課題を先送りにすることなく、冷静かつ現実的な判断をしていただくことを望む」としている。