「DC46タービンヘッド」

「DC46モーターヘッド」

近年、日本でも主流となりつつあるサイクロン型掃除機。遠心力によってゴミを空気から分離する構造のため、紙パックが不要であり排気もクリアなため人気が高くなっている。

1983年にジェームズ・ダイソン(Sir James Dyson)氏によって発明されたサイクロン型掃除機は、今や数々の日本メーカーがその技術を踏襲し市場に送り込んでいる。

9月11日、ダイソンは新モデル「DC46」「デジタルスリムDC45モーターヘッド」の発表を全世界に先駆けて日本で行った。ダイソンCEOでチーフエンジニアであるDyson氏が来日し、自らデモンストレーションを交えながら、新モデルに搭載されたサイクロン新技術を披露した。

果たして、サイクロン型掃除機はこの先どこまで進化していくのだろうか。

「デジタルスリムDC45モーターヘッド」

今回リリースされたテクノロジーは主に3点。「32ルートサイクロン テクノロジー」と、「タングルフリー タービンツール」そして、スリム化を実現した「ニッケルマンガンコバルトバッテリー」だ。

ダイソン氏が語った言葉とともに、その革新的な新技術について紹介したい。

360,000Gもの遠心力を生み出す新サイクロン技術

ジェームズ・ダイソン氏

まずは、「32ルートサイクロン テクノロジー」からみていこう。新製品「DC46」は、従来モデルでは12個だったサイクロンを32個に増やし、2層に配列した新技術を搭載したものだ。

一つひとつのサイクロンが最大で360,000Gもの強力な遠心力を生み出し、0.5ミクロンもの微細なハウスダストまで捕らえるという。

Dyson氏「今回、32個の最小サイクロンを2層に配列することで、より強い遠心力を生み出しました。従来モデルの遠心力は最大で290,000Gだったのですが、新モデルでは360,000Gまで増やすことに成功しました。

外側のサイクロンが一定でパワフルな遠心力を生み、内側のサイクロンが細やかなゴミを気流から分離させるのです」

360,000Gという遠心力はどれほど強いものかご想像できるだろうか。訓練をつんだ航空機のパイロットでも12Gがかかると失神してしまうそうだ。

この強力な遠心力によって、カビ胞子の1/10程しかない0.5ミクロンもの微細なハウスダストを分離させ、掃除機の排気から排出されないように設計されているのである。

掃除機ユーザーの不満を解消する新開発タービンツール

次に注目したいのは、「DC46」に付属されている「タングルフリー タービンツール」だ。これは、髪の毛やペットの毛などがブラシに絡まることなく取り除くことができるツールだ。

2つのブラシが互いに逆回転することで髪の毛やゴミを小さくまとめ、強い気流によりブラシに絡まずに掃除機の中に吸い込まれていく、という構造でできている。

タングルフリー タービンツール

Dyson氏「従来の掃除機は、ヘッド内のブラシに髪や犬の毛が絡まり、それをハサミで切らなければならなかったのです。これが大変面倒な作業でした。

毎日使う掃除機だからこそ、イライラや不満な点は改善するべきです。今回の技術は、その問題を解決に導いてくれました。」

併せてクリーナーヘッドの「カーボンファイバー」についてもデモンストレーションが実施された。

ダイソンの多くのサイクロン型掃除機のクリーナーヘッドには、モデルにより仕様は異なるが、きめ細かい導電性のカーボンファイバーとナイロン素材の2種類のブラシが搭載されている。

Dyson氏「カーボンファイバーブラシは、静電気の発生を抑え、さらに上に逃がす性質を持っています。カーボンファイバーは柔らかい素材なので、床を傷付けることなく固い床に密着した細かなゴミを取り除くことができるんです」

静電気の発生を抑えるカーボンファイバーブラシは、フローリングの細かなホコリまで見逃さないのである。

バッテリー・パワーが強化されたサイクロン型コードレス掃除機

また、同日発表された「デジタルスリムDC45モーターヘッド」には、新技術のバッテリーが搭載されている。

エネルギー密度を向上させ、安定した電力供給を可能とした新技術「ニッケルマンガンコバルトバッテリー」と、マイクロチップが動きを制御し毎分最大104,000回転する「ダイソンデジタルモーター」を搭載。

小型かつ軽量でありながら、バッテリーが少なくなってきても最後まで持続するパワフルな吸引力を実現した。また、従来モデル(「DC35」)よりも長い時間(通常モードで20分)の使用も可能。

Dyson氏「従来のモーターには中にカーボンブラシが入っているため、カーボンダストを排出させるだけでなく、使用していくと摩耗しモーター自体が使えなくなってしまうのです。

また、電力効率も45%と低い。カーボンブラシを使わずにマイクロチップによって動きを制御するわれわれの『ダイソン デジタルモーター』は、カーボンダストを発生させません。

そして、電力効率も87%と従来の約2倍を達成させました。

わずか2.3kgでありながら、フルサイズ掃除機と同じパワーを持つコードレスクリーナーを作り上げたのです。」とコメントした。

「DC45」はアルミパイプ装着時に全長約1.2メートルとなる。手元に重心を置くバランスのとれた重量配分のため、天井などの高い位置や家具の下などの狭いすき間、階段などさまざまな場所の掃除が可能だ。

「DC45」は高い場所の掃除も可能

また、アルミパイプを取り外せばハンディクリーナーとして車内など狭い空間の掃除も簡単に行うことができるのだという。

新技術開発を続けるダイソンの姿勢、「終わりなき挑戦」の原動力とは

この技術開発における原動力はどこからくるのだろうか。「終わりなき挑戦」について話をうかがった。

Dyson氏「完ぺきに作ったものでも常に改善点がみつかります。それを見つけることは簡単ですが、どう改善するか、また具体的な解決策を編み出すことはとても大変です。

私たちダイソンのエンジニアは、常にその終わりなき挑戦に立ち向かい、新しい技術を開発していきます。私たちは、イノベーションやアイデアを生み出すために特別なことはしていません。

ただ、普段から使用するものに対して、少しでも不便だ、不満だと感じるならば、エンジニアは、解決策を考えなければいけないのです。

今回、真っ先に日本で発表を行ったのは、世界的な市場からみても、性能の良さを一番正当に評価してくれるのは、日本の消費者だと考えているからです。

ダイソンでは日本市場にあわせたオリジナル製品の開発も行っています。日本人の目は厳しいですから、皆さんに認められることは、私たちにとってとても意義のあることなのです。

これからも改善のための新しいテクノロジーを開発し、より良い製品を日本の皆さんに提案していきたいと思っています。」

新モデル発表でも見られた、「どんなに完ぺきに作ったとしても常に改善を続けていく」というDyson氏の強い姿勢。

サイクロン型掃除機の技術をけん引しているDyson氏の言葉を聞く限り、その進化はまだまだ止まりそうもない。

新モデル「DC46」「デジタルスリムDC45モーターヘッド」は共に、9月11日よりダイソンオンラインストアにて先行販売がスタート。9月27日より全国家電量販店を中心とした小売店にて販売開始を予定している。