健康保険組合連合会は13日、2011年度決算見込状況の集計結果を発表した。それによると、2011年度の赤字額は1,443組合全体で3,489億円に上ることが分かった。高齢者医療制度創設以降、4年連続で3,000億円以上の赤字となり、累積赤字額は1兆6,068円に上るという。

2011年度の経常収入は、前年度比3,638億円増の6兆6,494億円、経常支出は同2,972億円増の6兆9,983億円。保険料率引き上げなどによる保険料収入の増加により、赤字額は前年から667億円減少した。

赤字組合は1,101組合で前年から14組減少したが、依然として約8割が赤字であることが判明。組合の赤字総額は、前年度比473億円減の4,363億円となった。また、財政難が原因で解散する組合も増えており、2012年3月末の組合数は前年同期の1,458組合から15組合減った1,443組合だった。

保険料収入総額は、前年度比3,751億円増の6兆5,156億円。これは、約4割の組合が保険料率を引き上げたことと、平均標準報酬月額および平均標準賞与額が増加したことが主な要因と見られる。

平均保険料率(2月末)は7.987%(調整保険料率含む)で、前年より0.315ポイント増加。保険料率を引き上げた組合は、全体の39.6%となる571組合(平均引き上げ料率0.808%)で、調整保険料の徴収を開始した1981年以来過去最高となった。うち、前年度から2年連続で保険料率を引き上げた組合は206組合に上る。同連合会は「平均標準報酬月額や平均標準賞与が伸び悩み、そのうえ被保険者数が減少するなか、増え続ける法定給付費や支援金・納付金等を賄うために保険料率を引き上げた結果」だと分析している。

経常収支状況と保険料率引き上げ組合数の推移(出典:健康保険組合連合会Webサイト)

一般保険料率の中に設定された後期高齢者支援金・前期高齢者納付金等に要する「特定保険料率」の平均は、前年より0.207ポイント増の3.596%。協会けんぽの平均保険料率(9.50%)以上の組合は、全体の7.3%となる105組合だった。

支出について見ると、法定給付費総額は前年度比840億円増の3兆5,293億円。被保険者1人当たり額は22万5,885円で、同5,673円の増加となった。

支援金・納付金等総額は同2,302億円増の2兆8,721億円で、過去最高を記録。このうち、後期高齢者支援金等は同951億円増の1兆4,087億円、前期高齢者納付金・退職者給付拠出金等は同1,350億円増の1兆4,633億円と大幅に増加した。高齢者医療制度等への拠出金額は、2007年度に比べ5,500億円も増加し、2008年度からの4年間の拠出金総額は約11兆円に上る。

同連合会によると、2012年度の予算早期集計では、健保組合全体で5,782億円の赤字が見込まれるという。「高齢者医療制度改革が実施されるまで、増え続ける高齢者医療制度への支援金・納付金と法定給付費を保険料率引き上げで対応せざるを得ず、この状態が続けば、やがては解散に追い込まれる組合が続出することが危惧される」と同連合会は指摘している。