――ヒーロースーツのデザインを行う際、特にこだわったパーツなどありますか?
僕は昔から透明パーツが好きだったので、今回は思う存分やってやろうと思いまして。自分の好みというのもあるんですが、クリアパーツはフィギュアにするとすごく映えるんですね。そこで、多用しようと考えました。
実は全てのキャラクターに対してクリアパーツを使おうと考えていたんですが、結局できなかったですね(笑)
――桂さんがデザインしたヒーロースーツを、3DCGスタジオ「サンジゲン」が作画したことでも話題となりましたが、3DCGで動かす前提でデザインされたのでしょうか?
はい、その前提でデザインしました。
――では、デザインする際にもデジタルの手法を使用したのですか?
いいえ、すべて手書きです。僕はパソコンが使えないので。
ただ、(3DCGで動かす前提のキャラクターデザインに)慣れていなかったのもあって、手描きでの作業はつらかったですね。タイガーの顔の造形についても、色々な角度から見たらどういう形になるかなと想像しながらスケッチを描いていって……。結局、100%の再現は出来ていないんです。横からはこの形にしたいんだけれど、正面から見たら元の形と違ってしまったりして……。フィギュアになった時には痛い目に遭いました。
――ブルーローズ、そしてドラゴンキッドの女性ヒーロー2名については、素性は非公開という設定でありながら、マスクなどはしていないデザインになっています。顔を出しているのはどんな効果を狙ってのことでしょうか?
これはサンライズからの依頼ですね。顔を出してほしいという要望があったんです。
ブルーローズのデザイン案では、「ヒーローは顔を隠したほうがいいんだろうな」と思ってマスクをしているものも出したんですが、それはボツになりました。(女性ヒーローについては)顔を出してほしい、ということだったのでそれをベースに作っていきました。
――どちらかというとメカニカルなデザインのヒーロースーツが多い中、ファイヤーエンブレムだけはぴったりとしたスーツデザインですが、これにはどんな意図があったのでしょうか?
意図というほどのものではなく、アメコミヒーロー的なデザインにしようと思っただけの話です。マントにぴったりしたスーツというと、アメリカンヒーローのフォーマットですよね。
実はファイヤーエンブレムがオネエというのもあとから聞いた設定で(笑)。がっちりした体格のラフも出したんですが、「もっと細身なイメージで」と指示があったので、後から体格を変えました。
――スカイハイはスーツ着用時の貴公子のような姿と、天真爛漫な性格とのギャップが印象的です。素顔のヒーローとスーツのデザインはセットで行っていたのでしょうか?
当時、僕のデザイン制作と脚本の西田征史さんの執筆が並行して進んでいたんですよ。西田さんがどうしてスカイハイを天然ボケのキャラにしようと思ったのかはわからないですが、別に会議をして「そういうギャップを出そう」だとか決めたわけじゃないです。奇跡、かもしれません(笑) 。
――ヒーロー以外の人物のデザインも桂先生が手がけられたとのことですが、虎徹(=ワイルドタイガー)の妻・鏑木友恵のデザインは先生によるものですか?
友恵の存在についてはすごく後の方で決まった設定なので、僕はデザインしていないです。
――それでは最後に、桂先生にとって一番思い入れのあるキャラクターを教えてください。
それはもちろん、ワイルドタイガーですね。
タイガーのデザインを定めてから、ほかのキャラクターはどうやっていこうかという風に割り振っていきました。大勢のヒーローのデザインを手がけるにあたって、軸を作らないと先に進めなかったので、その軸となってくれた彼には思い入れがあります。
――ありがとうございました。
劇場版TIGER & BUNNY -The Beginning-
■作品紹介
ピークを過ぎたベテランヒーローのワイルドタイガー(虎徹)と、ヒーローとしての能力は高いが生意気なバーナビー。会社から命じられコンビを組んだ2人だが、息があわずなかなか成果を出すことができない。
2人のぎくしゃくとした仲は、街のシンボルである立像スタチュー・オブ・ジャスティスが奪われた事件でも変わらない。人混みの遊園地の中で犯人のNEXTを追うヒーローたち。果たして、犯人のNEXT能力は一体何なのだろうか―。
■STAFF
企画・原作:サンライズ/監督:米たにヨシトモ
脚本・ストーリーディレクター:西田征史
キャラクター原案・ヒーローデザイン:桂正和
キャラクターデザイン・総作画監督:羽山賢二/板垣徳宏
音楽:池頼広/企画協力:さとうけいいち
アニメーション制作:サンライズ 配給:松竹/ティ・ジョイ
9月22日全国ロードショー
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