マルチメディアサーバとしても活用
LaCie d2 Network 2は、iTunes(DAAP)サーバとして機能する。共有領域上に適当なフォルダを作成し、そこへサウンドファイルをコピー、その後サーバの管理画面(Dashboard)で「一般設定」の「サービス」タブにある「マルチメディア」項目を有効化すれば準備完了。どのような曲が保存されているかを自動スキャンし、インデックス化した上でLAN上に公開してくれる。
共有方法は簡単。iTunesの「共有」項目に現れたLaCie d2 Network 2の名前をクリックすれば、再生可能な曲が一覧表示される。AACやMP3、Apple Losslessなど対応するサウンドフォーマットはiTunesと同じだ。DRM付きの楽曲についても再生できることを確認している(アカウント認証済のコンピュータで再生)。
なお、サウンドファイルを追加コピーしても、インデックスは自動更新されない。サービスを開始したときの「マルチメディア」項目のオプションボタンをクリックし、「再インデックス作成」を選択して手動更新する必要がある。
この「マルチメディア」サービスには、iTunesサーバだけでなく、DLNAサーバ(DMS)としての機能も含まれる。サウンドファイルと同様に、適当なフォルダへムービーファイルをコピー、その後インデックスを再作成すれば、DLNAクライアントに再生可能な項目として現れる。あとはプレイヤーソフト(DMP:Digital Media Player)や、コンテンツを再生するレンダラー(DMR:Digital Media Renderer)に指示を送れば、LaCie d2 Network 2はムービーサーバとしても楽しめるだろう。
テストには、iPhone 4S(アプリは「iMediaShare」を使用)と、DMRとして動作するソニーの薄型テレビ「BRAVIA(ブラビア)」を使用した。iMediaShareはDMPとしての機能を備えているので、LaCie d2 Network 2上にあるムービーを直接再生できるほか、コントローラ(DMC)としてDMRに対し再生を指示することもできるからだ。
その結果は良好、iPhone 4Sと薄型テレビの両方で支障なく再生できた。ただし、再生可能なフォーマットはDMPとDMRの仕様によるため、あらゆる動画を再生できるわけではない点に留意しておきたい。また、DTCP-IPには対応せず、録画した地デジ番組など著作権保護されたコンテンツも再生できない点も納得しておく必要があるだろう。
リモートアクセスはあっけないほど簡単。外出時に手軽にアクセス
リモートアクセスが可能ということも、LaCie d2 Network 2の大きなアドバンテージだ。しかもダイナミックDNS※込みでサービスを提供するため、ドメイン名を取得したり別途料金を支払ったりの手間がない。ダイナミックDNSのコンフィグレーションは、サービス会社の選定を含め骨の折れる作業だが、LaCie d2 Network 2では2ステップで完了する。
※ダイナミックDNS:DNSデータベースを動的に更新することにより、プロバイダから都度割り当てられる非固定のIPアドレスでも、特定ドメイン名でのアクセスを可能にするサービス。個人宅のコンピュータをWebサーバ化する目的などに使用される。
まず、サーバの管理画面(Dashboard)で「ネットワーク」を表示、リモートアクセス欄で「LaCie MyNas」を選択してから他ユーザと重複しない任意の文字列を名前欄へ入力する。ルータを利用している場合は、ポートの開放やアドレス変換設定が必要になるので注意しよう。そして「自動ポート転送」をチェックし、「適用」ボタンをクリックすれば、リモートアクセスサーバとしての設定は完了だ。
試しに、外出時にiPhone 4Sから専用アプリ「LaCie MyNas」を使い3G回線経由でアクセスしたところ、あっけないほど簡単に接続完了。自宅で稼働しているはずのLaCie d2 Network 2の共有領域を表示できた。ただし、LaCie NAS OSが管理するHDDのフォーマットはHFS+ではないようで、「.AppleDouble」や「.DS_Store」といった不可視ファイルまで表示されてしまった。これは、今後のOSのバージョンアップやアプリの仕様変更で対応してほしいものだ。
iPhone 4Sで、リモートアクセス専用アプリ「LaCie MyNAS」から3G回線経由でリモートアクセスしたところ |
日本語ファイル/フォルダ名は支障なく表示できたものの、不可視ファイルがそのまま見えてしまうところは残念 |
表示した共有領域では、オフィス文書や画像など各種ファイルのプレビューのほか、写真のアップロードが可能になっている。カメラロールに保存された撮影済の写真だけでなく、これからカメラで撮影する写真も対象にできるので、ほぼリアルタイムに写真を自宅へ送信、といった離れ業も可能になる。文字コードがシフトJISのテキストファイルが文字化けするなど、要改良箇所も少なくないが、必要な機能は満たしているともいえる。
扱いやすい高コスパなNAS
LaCie d2 Network 2を10日間ほど利用しての印象は、Macユーザにとって機能とコストのバランスが取れた1台だということ。ファイルサーバ/プリンタサーバとして動作するなどNASとしての基本機能はもちろんのこと、Time Machineのバックアップディスクとして、iTunesサーバとしても利用できる。DLNAサーバがDTCP-IPに対応しないことは、他のNASと比較して割り切りが必要な部分だが、Macをレコーダー的に使用するユーザの少なさからすると、さほど問題とはならないだろう。
リモートアクセスも扱いやすい。ダイナミックDNSの設定はわずかな作業で完了、一意のURLからアクセス可能となる。専用のiOSアプリも用意されている。OS X特有の不可視ファイルが丸見えとなる点はいただけないが、セットアップの簡便さがこれをカバーする。
LaCieらしいデザインとファンレス構造による静粛性、2TBという容量とこれだけの機能を2万円台前半で提供するのだから、特にMacユーザにはNAS導入時の有力候補となるはず。テレビの録画/再生には使わないと割り切れるのならば、高コストパフォーマンス機といえるだろう。