キン肉マン、スーパーカー、かみつきばあちゃん……。さて、これらの単語のあとに共通で続くワードはな~んだ? 答えが消しゴムだと分かった人は立派な大人! 今のあなたなら、あの頃欲しかった消しゴム全部、まとめて大人買いできちゃうはず。
リーゾナブルゆえに大量に手にいれることができるから、色違いのものまで全てそろえるもよし! ショーケースにずらーーーっと並べて飾るもよし! と、やりたい放題。でも、ちょっと待って。コレクションに熱をあげる前に、一度、消しゴムについて一からお勉強してみるのもいいんじゃない? というわけで、「おもしろ消しゴム」の工場見学を実施しているイワコーをご紹介!
子どもに喜んでもらうことが一番
「工場見学」と聞くと、小学校時代の社会見学を思い出す人もいるだろう。でも、こちらの会社では、大人も子どもも一緒くたになって消しゴム作りのハウツーを学ぶことができるという。
「もともとは、八潮(やしお)市の小学校3年生が"町の工場を見る"という授業で訪れてたんだよ。しばらくして一般受付もするようになってからは、大人と子供半々くらいで見学に来るようになったね。うちはね、同業者の方でも歓迎してるの。だって、消しゴムみたいに小さな製品のために何千万もかけて金型を作る会社はうちくらいだからね。そうそうまねできないでしょ?」とあっけらかんと笑うのは、同社創業者の岩沢善和さん。
御年78歳。中学卒業後、文房具の問屋に住み込みで勤めたのち、自らの会社を立ち上げたという。「思いついたアイデアを製品化しようとしても、売れる確証がないものにはお金をかけられないでしょ? でも、自分の会社でだったら全ての責任が自分にあるんだから、やってみたいと思ったことは全てできる。僕はね、どうやったら世界中の子どもたちに喜んでもらえるかを常に考えてるんだよね」。
その言葉通り、工場見学でも、様々な趣向を凝らして見学者を楽しませることを第一に考えている。
消しゴムの母国はブラジル? 白熱・消しゴムクイズ!!
さて、お待ちかねの工場見学の紹介に移ろう。まず、見学にあたっては事前に予約が必要だ。工場見学予約専用ダイヤル(同社ウェブサイト参照)から申し込めば、誰でも無料で見学できる。見学対象は、同社が商標登録をもっている「おもしろ消しゴム」の生産工程だ。
というわけで早速、予約日時に工場に赴き、子どもたちに混じって並んで待ってみる。すると、ヘッドマイクを装着したスタッフのお兄さんが登場。さわやかな笑顔で「今日は暑い中お越しくださりありがとう」とあいさつするフレンドリーなお兄さんを前に、子どもたちの目はすでにキラキラ☆さすがは子どもに夢を与えている会社である。
見学はまず、機械の説明からスタート。1日に4万個もの消しゴムパーツを生産するという金型を初めて見る子どもたちは、興味津津の面持ちでお兄さんの説明に熱心に耳を傾けている。一つひとつの言葉をメモに取る子もちらほら。
さらに大人たちも興味深そうな表情で、うんうんとうなずきながらトークに聴き入っているのが印象的だ。それもそのはずで、なんせお兄さんの語り口調が絶妙で、まるでバラエティー番組を見ているような気分になってくるのだ。
話の内容も面白い。例えばこんな質問をぶつけてくる。「消しゴムが誕生した国はどこだか知ってる?」。答えはブラジルだというが、その場で挙手した誰もが正解できなかった。では次の質問にあなたは答えられるだろうか?
「消しゴムが誕生する前、書き間違えたら何を使って消していたでしょう?」…3、2、1、タイムアーウト! 答えは、なんとパン。当時のパンには、バターなどの油脂が混入されていなかったため、紙に油分がうつってしまうこともなく、文字を消すことができたんだとか。ふむふむ。これは大人にとってもなかなか面白いネタじゃないの。
さらに、「消しゴムに加えた顔料は、100度以上の熱を加えることで紙に色移りしなくなるんだよ」との前置き後、熱が加わった消しゴムを冷ますための冷風を子どもたちに浴びせると、みんなキャアキャアと大騒ぎ。中には自分から冷たい風に向かっていく男の子もいて、それをカメラにおさめようと携帯を向けるお母さんがはしゃぐ姿も見られた。
「夢はかなえるためにある」社長のアツい言葉
一通り説明が終わると、次は和室に移動。ここでは、工場で生産された消しゴムパーツの組み立て体験ができる。加えて、創業者の岩沢さん自ら、経営やものづくりにまつわるエトセトラを熱弁してくださるので、大人たちにとっても非常に有意義な時間を過ごすことができる。
そして組み立て体験後には、岩沢さんから参加者に熱いメッセージが送られた。「夢は寝て見るものじゃないんだよ。夢は目標なんだから、文字に書き起こして部屋に貼(は)って、達成するまで毎日毎日見続けることが必要なんだ」。これからの日本を支える子どもたちにとっても、そして夢を忘れてしまった大人たちにとっても胸に響く〆の言葉。誰しも見学に来て本当に良かったと心から思わされること必至である。