デートでどこに行くか考える際に「◯◯に行くと二人は永遠に結ばれる」「××でデートしたカップルは別れる」……こういった都市伝説を思い出して、「ぜひ二人でここに行こう」と思ったり、「ここに行くのはやめておこう」と考えたことはありませんか。このような恋にまつわる「都市伝説」について、心理学者の内藤誼人(ないとう・よしひと)先生にお聞きしました。

都市伝説やジンクスの正体は……

 デートにまつわる都市伝説は、実は「自己暗示」なのだと内藤先生は言います。

「藁人形やブードゥー教など、いわゆる『呪い』と言われるものはすべてそうなんですが、要は自己暗示なんですね。『そこに行くと別れる』という暗示が自分にかかってしまい、『どうせ俺たちって別れるんだよな』という気持ちがどこかで湧いてきてしまう。そうすると相手に対して冷たい態度や冷たい言葉となって出てしまい、いつしか別れにつながってしまう。なぜなら、そうなった方が『ほらやっぱり別れたじゃないか』という安心感にもつながるんです。なので無意識の内に自分で行動してしまうんですね」(内藤先生)

恋愛スポットは良い暗示に利用

 では「恋が叶う」という都市伝説やジンクスがあるデートスポットに行くのは意味が無いのでしょうか?

「暗示にかかりやすい人の場合、縁結びの名所とか、パワースポットなど良いジンクスがあるところに行くと、自分を盛り上げるための暗示がかかります。それがいい効果になることもあるでしょうね。ただ、そういう場所に行く時には相手がその場所の効果を知っていることが重要です。行くまでにさりげなく世間話をよそおって『こんな話、知っている? 俺全く信用してないんだけど……』という感じで、相手に情報を伝えます。そうすれば相手も同じように『良い暗示』にかかりやすくなりますよ」(内藤先生)

 例えば「東京タワーのライトアップが消える瞬間を一緒に見たカップルは幸せになれる」というジンクスがあります。そういうジンクスの場所をさりげなくデートコースに入れるのもいいかもしれません。また、恋愛成就のパワースポットや神社にお参りして、自分に良い暗示をかけるのも恋愛に良い効果をもたらすと言えるでしょう。

午前0時のライトダウンを一緒に見ると幸せに!? (C)TOKYO TOWER

恋愛の神様として名高い東京神宮

信じやすい人は、悪いジンクスは避けよう

 良い方にも悪い方にも働く自己暗示のパワー。そのため「自分はジンクスはまったく信じない」と確信している人以外は、悪いジンクスがある場所は避けたほうがよさそうです。

「よくジンクスには科学的な根拠がないといわれますが、自己暗示の力というのはこれまでにもさまざまな実験で証明されています。例えばマッケンリーという心理学者が行った実験で、薔薇アレルギーの人が造花の薔薇に触れたところ、出るはずのないアレルギー反応が出た、という実験結果もあるんです。そのくらい、自己暗示というのは強いものなんですね」(内藤先生)

 いい方にも悪い方にも利用できるのが自己暗示の力。悪いジンクスは避けて、良いジンクスはうまく利用するというのが、幸せを引き寄せる近道かもしれませんね。