伊藤歩主演の映画『渾身 kon-shin』が現地時間の1日、カナダで行われた第36回モントリオール世界映画祭で公式上映を行い、伊藤のほか共演の青柳翔、錦織良成監督が出席した。
同作は隠岐の豊かな大自然を背景に、古典相撲を通して島とともに生きようとする家族を描いた感動作。20年に一度の遷宮相撲の日、最高位の正三役大関に選ばれた英明(青柳翔)は、地区の名誉と家族、そして妻・多美子への想いを賭けて土俵へとあがる。
日本の国技である"相撲"を題材にしていることもあり、モントリオールの観客たちは異文化の物語に興味津々。上映後の質疑応答では、やはり相撲に質問が集中した。50代女性から「映画の中で白いものを投げていましたが、何を投げていましたか?」と質問を受けた錦織監督は、「塩です」と答え、「古代から人は、塩と水を非常に大切に扱ってきました。塩を投げることによって、神様に自分たちの誓いや本気さを伝えるためです。因みに、2トンの塩を使用しました」と由来や撮影エピソードを交えて説明していた。
また、30代女性から「相撲の練習を一言で言うと?」と聞かれた青柳は「我慢の一言に尽きます」と答え、40代男性からの「演じる上で古来からの日本の相撲の歴史を知っていましたか?」という鋭い質問には、伊藤、青柳ともに「知りませんでした」と正直に告白。錦織監督は「日本もどんどん、このような文化・伝統が無くなっているので、若い人たちも、大人たちも知らなくなってきています」と本作に込めた思いをにじませた。同作は2013年1月5日(土)に島根、鳥取で先行公開され、2013年1月12日(土)に全国公開を迎える。