町屋の中には人物をかたどった作品群。作者は水上雅章(造形作家)。撮影:中西俊介(写真家)

秋のシルバーウィークの7日間、兵庫県篠山市の国重要伝統的建造物群保存地区「河原町妻入商家群」の25軒の町屋をギャラリーにした『丹波篠山・まちなみアートフェスティバル』が開催される。

秋の丹波篠山は観光のベストシーズン。松茸、栗、黒豆、山芋といった食べ物はもちろん、色鮮やかに紅葉する篠山の風景は一見の価値あり。そんな篠山は、歴史的な"まちなみ"と"芸術"もあふれている。

9月15日(土)~17日(日)、20(木)~23日(日)、この町が才能あふれる芸術家たちの展覧会場に変わり、歴史と芸術のコラボレーションを展開する。

ストリートで見学の人々。オブジェは、ほんいでんすみよ(造形作家)の作品。撮影:中西俊介

自身の作品と作家の中山明日香(画家)。撮影:中西俊介

「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」は2008年「丹波篠山築城400年祭」に合わせてスタートした。5回目を迎える今年は、地元の芸術家を中心に32名が作品を出展する。

絵画、イラスト、造形、彫刻、陶芸、創作硝子、映像、写真、キルト、木工芸などなど、多彩なジャンルの作品が25軒の風情ある町屋をギャラリーに、撩乱する。なお、鑑賞は無料だ。

シルバーウィークに開催される「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル」の告知ポスター

今年は、幻の「山猫軒」が「フェリシモ しあわせの学校」と「丹波篠山まちなみアートフェスティバル実行委員会」の共催で、町屋の「ささやまな家」を利用してオープンする。

「山猫軒」とは、宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」に登場する森の奥の"一風変わった"レストランだ。『篠山の山猫軒』では、宮沢賢治の作品世界とともに、兵庫×東北・岩手がコラボレーションするカフェ。

篠山の野菜と岩手の雑穀たっぷりのスープと天然酵母パンのランチプレート(各日限定20食)。イーハトーブのお茶っこセット、篠山のおやつセット、黒豆茶などの限定メニューが楽しめる。

また、イベントもさまざま企画されている。フェスティバル前半の9月15日(土)~17日(月)には、"山猫軒ワークショップ"として、料理研究家で宮沢賢治研究家の中野由貴さんを講師に迎えての「賢治の電器葡萄酒作り」。

宮沢賢治が詩人・草野心平にそのレシピを贈ったと言われる「電気葡萄酒」を、デモンストレーション形式で再現する。

さらにソープアーティストのクボノリコさんが里山の秋をテーマに手作り石けんを作る「どんぐり&きのこの石けん作り」や、アナウンサーの川邊暁美さんによる「雨ニモマケズ」朗読ワークショップが開催される。

後半の22日(土・祝)は、篠山に近い三木市出身の「玉岡かおるさんのアート語り」として、スペシャル・チャリティー講演会、『サイレントシネマ活弁上映会』(上映作品「東への道」)が予定されている。なお、上記イベントはいずれも有料。