トレンドマイクロは、コンシューマ向けのウイルスバスターシリーズの新製品を発表した。まずは、トレンドマイクロ副社長・グローバルコンシューマビジネス担当の大三川彰彦氏が登壇した。
大三川氏は、この数年でデジタルを取り巻く環境が、大きく変化してきていることを指摘した。その代表例がスマートフォンやクラウドの普及であろう。このような状況で、すでに本誌でも紹介したが、トレンドマイクロの新たなコンシューマ戦略を発表している。トレンドマイクロでは、これまで、以下の4つの分野で事業を展開をしてきた。
- デバイス(PCやスマートフォンなどのユーザーが触れる機器)
- データ(PCやスマートフォンのみならず、クラウド上などのデータも含む)
- プライバシー(コミュニケーションの中で安心してやりとりを行う)
- ファミリー(子供からシニアまで誰でも安心してデジタルライフを楽しむ)
さらに、プロダクトを並べるだけでなく、これらを統合したデジタルライフ支援サービスを提供していくとしている。そのなかで、従来のアンチウイルスなどで複雑、面倒、不便、不安といったものから、「セキュリティをカンタンにする会社」へを転換を目指している。具体的には、図2のような製品群から構成される。
黄色枠で囲まれた製品が、今回の新製品となる。背景が灰色となっている製品は今後リリース予定とのことだ。
Facebookのプライバシー設定機能がついたウイルスバスタークラウド
次いで、トレンドマイクロプロダクトマネージャーの塩田行宏氏が登壇し、メインとなるウイルスバスタークラウド機能紹介を行った。さて、今回の新機能・強化された機能は、おもに以下の通りである。
Facebookプライバシー設定チェッカー
Facebookのプライバシー情報の公開情報を確認し、注意すべき設定があれば、それらをビジュアルに指摘
SNSプロテクション(機能強化)
対応SNSに、Google+、LinkedID、Pinterestが追加
Windows8対応
OS起動前にウイルスチェックが可能なセキュアブート対応、インターネット回線を従量制課金で使用する場合にアップデートを遅らすなどのデータ通信量低減機能、Modern UIとDesktop UIのいずれでもWebレピュテーションにより詐欺サイトや不正なサイトを事前にブロックするWeb対策機能
新しくなったメイン画面
タグを採用し、直観的でわかりやす機能分類。さらに、SNS関連の機能はメイン画面から直接利用可能
ソフトウェアの使用制限
ペアレンタル機能の一部で、Windowsのユーザーアカウントと連携し、未成年者のソフトウェアの使用を制限
一通りの説明があった後、Facebookプライバシー設定チェッカーのデモンストレーションが行われた。ここでは、ゲストにウイルスバスターガールの山本美月さんも登場した。
Facebookは利用者が急増しているが、その一方で、それを悪用するケースも少なくない。Facebookでは、多様なプライバシー管理を行うことができるが、初心者には難しいとの指摘もある。そこで、ウイルスバスターでは、その設定をアドバイスする機能を搭載した。Facebookで繋がりの設定項目で、[設定を編集]を選ぶ。すると、図6のように表示される。
現在の設定に対し、アイコンとポップアップで、プライバシーを高めるための変更がアドバイスされる。1クリックで、初心者にも簡単に行えるであろう。
ウイルスバスタークラウドは、パッケージ版は9月7日より店頭にて、ダウンロード版は8月30日よりトレンドマイクロのオンラインショップにて販売される。1年版の価格は、オンラインショップで、ダウンロード版が4,980円、パッケージ版が5,980円となる。トレンドマイクロでは、1,450万ユーザの出荷を目標としている。
Mac版も機能強化
今回のバージョンアップでは、3年ぶりにMac版にも機能強化が図られた。具体的には、以下の通りである。
Trendツールバー
「Trendプロテクト」により、検索結果の安全性やWebメール内のURLの安全性を色別に評価する機能
SNSプロテクション
SNSで表示されるURLの安全性を色別に表示する機能
めんどうな評価もカンタンに-ウイルスバスタークラウド モバイル for Android
続いて、トレンドマイクロプロダクトマネージャーの石橋達司氏が登壇し、引き続き、山本美月さんとウイルスバスタークラウド モバイル for Androidのデモンストレーションを行った。
ここでは、新機能のプライバシースキャンのデモンストレーションが行われた。Androidでは、アプリのインストールの際に、必要とする権限が表示される。しかし、多くの場合、そのままインストールしてしまう。プライバシースキャンは、インストール時にアプリを評価する(こちらは、リアルタイムに検索が行われる)。さらに便利なのは、インストールされたアプリの権限の確認である。手動検索を行い、問題のあるアプリが発見されると図8のように表示される。
危険度の判定レベルとともに表示される。そして、対象となったアプリが、どのような情報を収集しているかが表示される(図9)。
ここでは、位置情報、携帯電話機識別番号(IMEI)、登録されている国(IMSI)、SIMMカードの識別番号(ICCID)などが収集され、インターネットを経由して送信される可能性があるとのことだ。このような問題あるアプリは、[削除]をタップすることで、簡単に削除できる。手動検索では、SDカード内のモバイルアプリインストール(APK)ファイルの評価も可能である。
また、トレンドマイクロのMobile App Reputation(MAR)と連携し、上述の個人情報以外にも、写真・動画、着信履歴、連絡先、SMS、音楽ファイル、ダウンロードファイルなども判定の対象となり、リスクレベルがユーザーに表示される。従来の不正アプリ対策やWeb脅威対策、盗難紛失対策も実装されており、トータルにスマートフォンを守ることができる。
ウイルスバスタークラウド モバイル for Androidは、9月7日より、店頭、オンラインショップ、Google Playで販売開始となる。1年版のオンラインショップでの価格は、2,980円である。トレンドマイクロでは、450万ユーザの新規獲得・更新を目標としている。