広い北海道を旅行する手段としてレンタカーは最高だ。交通機関がとぼしい北海道だが、レンタカーがあればどこへでも自由に行くことができる。また北海道は道路が広いだけでなく、直線道路が多い。一度は味わってほしいと思う。ところで、北海道のレンタカーにはある奇妙なうわさがあるのをご存じだろうか?
昔、北海道には「れ」ナンバーのレンタカーは実在した
レンタカーは一般的に「わ」ナンバーというのが常識である。しかし「北海道のレンタカーは『れ』ナンバーだ」といううわさが流れているという。北海道在住ライターの私にしてみれば寝耳に水のようなビックリするではないか。だって北海道で走っているレンタカーは、他府県と同様全て「わ」ナンバーなのである。
なぜそんなうわさが流れるのか。私の遠い記憶を思い起こすと、昔北海道で走っていたレンタカーのナンバーは確かに「れ」だった。レンタカーというものがこの世に出てきた頃、子どもだった私は「レンタカーだかられナンバーなんだなぁ」などと、友達や親兄弟と会話したことがあった。
いつの間にかレンタカーのナンバーが「わ」になり、なんで「わ」になったのか…などと考えていたのである。むしろ全国的に同じ流れではなく、これが北海道だけの流れであるとしたら? むしろ北海道民としてなぜそんなことになったのか確かめたいものである。
「わ」か「れ」か。全国が支持したのは「わ」だった
車のナンバー登録を所管する北海道陸運局(国土交通省)の札幌陸運支局に聞いてみた。すると「確かに昔、北海道のレンタカーは『れ』ナンバーでした」という回答をいただいた。乗用車のナンバープレートを上から順に見ながら説明すれば、話は早い。
まず左上に所管している陸運支局名が入っている。「札幌」とか「品川」とか書かれているあれだ。その右横に3桁の数字が入っている。年齢が30代後半ぐらいの人なら、この部分が以前は2桁だった記憶があるだろう。更に年齢が40代後半ぐらいの人であれば、この部分が1桁だった時代を記憶している人もいるだろう。車の台数が増加するに従い、この数字の桁数は増えてきたのである。当然、地域によって車の所有台数は異なるため、桁数が増えた時期も異なるが、札幌支局では平成10年から3桁に移行した。
次にナンバープレートの下側の左端、問題になっている平仮名の表記だ。この部分は車の用途により使われる文字が決まっている。「レンタカーは『わ』、あるいは『れ』にしましょう」という通達が出たのは昭和46年。北海道運輸局では「れ」を採用することにした。
ところがどうした偶然か、全国的には「わ」を採用する支局が圧倒的に多かったのである。そこで北海道でも、全国から来る利用者に分かりやすいようにと、上段の数字の3桁移行に合わせて「わ」登録に統一したのである。
「わ」統一化から既に10余年。おそらく現役として使用されている「れ」ナンバーのレンタカーは、もう無いのではないかと推測できる。万が一見つけた方がいたら、ぜひご一報いただきたい。
北海道でレンタカーを使うなら「パーキングエリア」は活用大
しかしまあ、レンタカーのナンバーが「わ」であろうが「れ」であろうが、どっちでもいい。一気に盛り上がりをぶち壊す全否定的見解であることは分かっているが、そういうコアなことはさておき。北海道でのレンタカー旅行をぐんと楽しめるアイデアを紹介したい。
北海道は都市部から離れると、主要幹線道路に通称「パーキングエリア」と呼ばれる施設が点在している。当初は広い北海道を移動するトラックドライバーが仮眠できるよう、あるいは不意に雪が降ってきた際にチェーンを取り付ける場所として、道路際に設けられた駐車場のことだ。一般のドライバーも自由に利用できる。
この場所を今はやりの「車中泊」の場所として利用しながら旅をすると、がぜん面白いのである。なにせ長距離ドライバーの仮眠施設としての役割があるので、一泊程度であれば誰に注意されることなく利用できる。北海道は自由にキャンプできる場所が多いが、テントを張るのは面倒だし、最近は熊の出没も多い。ちょっと奮発して、2人ぐらいならゆうゆうと足を伸ばして眠れるミニバンやワンボックスタイプのレンタカーを借りてみる。宿代を節約しながら、自由でワイルドな旅を満喫できるだろう。
着替えや洗面・入浴道具も用意しておこう。途中に日帰り入浴できる温泉や洗面ができる施設などを利用すれば、清潔感を十分保ちながら旅ができる。またパーキングエリアの設備は本当にまちまち。トイレや自動販売機が設置されている所もあれば、舗装すらされていない所もある。トイレがあるパーキングエリアならより便利だろう。また、自炊の道具を調達して、夜はパーキングエリアの隅でバーベキューなどということも可能だ。
ただし注意事項もいくつかある。全てのパーキングエリアは自由度が高く、特に利用時間などを設定していない。しかし、必要以上にスペースを確保しての自炊や、長期の滞在などは止めていただきたい。迷惑行為が多発すると規制も多くなり、迷惑するのは地元の人々である。ゴミの投げ捨てなどは論外だ。
また、どんなドライバーがやって来るかも分からない。女性だけでの利用は十分気をつけた方がいい。場所によっては不良たちのたまり場になっている可能性もある。パーキングエリアを探す際は、買い出しなどするお店などでできるだけ情報を集めるのが無難だろう。 注意事項はあるものの、レンタカーの野宿旅はガイドブックに無い北海道の魅力を存分に味わえること間違いなしだ!