11月2日公開の映画『のぼうの城』が28日(カナダ現地時間)、モントリオール世界映画祭のワールド・グレイツ部門にてワールドプレミア上映会を実施。石田三成を演じた上地雄輔と犬童一心監督、樋口真嗣監督が登場した。

左から犬童一心監督、上地雄輔、樋口真嗣監督 拡大画像を見る

黒のタキシードに身を包んだ上地と、兜を被った犬童監督と樋口監督が劇場に現れると、観客は大興奮。フランス語で用意したあいさつを時にユーモアを交えながら披露した後、上地は「この映画はたくさんのスタッフ、素晴しいキャストのみなさんと力をあわせて時間をかけて一生懸命作った作品です。本当は昨年公開される予定でしたが、日本で大きな震災があって、この時期に封切られることになりました。これをきっかけに日本や世界中に力強さや優しさが広がるようにみなさんもこれを見てもし感動したらいろんな家族や友達に強さや優しさを伝えてもらえたらなと思ってます。最後まで楽しんでいってください」とついに初お披露目となった本作への熱い思いを語った。

犬童監督は「この映画は今から450年ぐらい前の話です。東京の隣の街で本当に起こった話です。登場人物も生きていた人たちで実在の人物です。物語の中の水攻めという水を使った攻撃も実際に行われたものです。その時代、日本は戦国時代と呼ばれ、日本中が戦争をしてその中で誰が天下を取るかという戦いをしていました。いつ自分が死んでもおかしくない時代で一生懸命生きた人たちの姿を描こうと思いました」、樋口監督も「この映画は戦いの話です。敵味方に分かれていますが、どっちが正しい、どっちが悪いということはないと思います。隣にいる上地さんは映画の中では敵軍の一番偉い指揮官です。映画の中ではわれわれは敵であろうと味方であろうと魅力的な人間だと感じていたので、(石田三成を)魅力的に描こうと思いました。現実に争いごとや戦争は起きて欲しくないですが、映画なので皆さん楽しんでいってください」と丁寧に語りかけた。

同作は、和田竜が書き下ろしたオリジナル脚本をもとにした映画化作品。小説は40万部を越えるベストセラーで、天下統一を目前にした太閤・豊臣秀吉が、石田三成に2万の大軍をもって落とせと命じた忍城。その石田三成の水攻めに、"でくのぼう"と揶揄されていた成田長親(野村萬斎)が総大将に立ち、たった500名で迎え撃つというストーリー。