クリント・イーストウッドの俳優としての復帰作『人生の特等席』が、11月23日(金)に公開されることがわかった。

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今年で82歳を迎えたクリント・イーストウッドは、自らが監督・主演を務めた2008年の『グラン・トリノ』をもって「もう積極的に役は探さない」と語り、実質的な俳優引退宣言をしていた。そんな彼が一体なぜ、この作品での俳優復帰を決めたのか。

本作の監督を務めるのは、クリント・イーストウッド監督作の助監督等で長きにわたって製作に携わってきたロバート・ロレンツ。彼は『グラン・トリノ』の撮影中のデトロイトで監督をやりたいという希望をイーストウッドに伝えていた。そして、イーストウッドは唯一彼の弟子入りを認めたのだという。

「監督という仕事を学ぶのに彼以上の師匠はいないよ。私はとにかく何でも吸収した。クリントはいい意味でとても昔かたぎで、映画の事を他の誰よりも理解している」と師匠について語るロバート・ロレンツ。イーストウッドは撮影中、見守るように愛弟子の監督としての姿を見つめていた。

自身の監督作以外では『ザ・シークレット・サービス』(1993年)以来、19年ぶりの俳優復帰を遂げたクリント・イーストウッド。彼が愛弟子のため、そして映画の魂を引き継ぐために本作で演じたのは"野球に生涯をささげる男・ガス"だった。大リーグの伝説的なスカウトとして何十年と活躍してきたガスだったが、年齢的な衰えから視力も弱り、周囲からは疑問の声が上がりはじめる。その彼の目の代わりとなったのが娘のミッキー(エイミー・アダムス)。ところが、シングル・ファザーのガスと娘の間には、長年触れられることのなかった心の溝があった。