Microsoftが25年ぶりに自社ロゴを刷新した。企業イメージに大きく影響を及ぼすロゴの変更は、この秋リリース予定のWindows 8や次期Officeなど新製品ラッシュに対する同社の意気込みを表しているようだ。今週は同社が採用してきたロゴの歴史を振り返る。
Windows 8レポート集
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Microsoftのロゴに見る同社の歴史
本誌でも既に報じているように、Microsoftは自社のロゴを25年ぶりに刷新した。そもそもロゴは略称であり、装飾した言葉(=Logo)と活字(=Type)を組み合わせたLogotype(ロゴタイプ)が正式名称である。記号化されたロゴは、それだけで企業や商品のイメージを印象づけると同時に、コーポレートアイデンティティーという企業戦略を推し進める重要な存在だ。
ロゴ変更の理由として、ブランド戦略担当ゼネラルマネジャーのJeffrey Meisner(ジェフリー・マイズナー)氏は「Windows 8や次期Office、Windows Phone 8など新しい商品は共通の外観を使用し、パソコンや携帯電話、タブレットなどでシームレスやUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供するため」と述べている。
ここで同社が採用していたロゴを振り返ってみよう。一つめは創業した1975年から1979年まで使われたもの。当時はBASICを使用し、短いステップ数で幾何学模様を描くテクニックが持てはやされていたが、ロゴに幾何学模様を使うあたりに当時の社風を思い描かれる。二つめは1980年から1981年と短い期間に用いられた。経緯は不明だが不評だったのだろう(図01~02)。
三つめは1982年から1987年まで使われた「blibbet」と呼ばれるロゴ。Windows 1.0のパッケージにも用いられており、懐かしく感じる方も多いはずだ。続く四つめは先頃まで使われていたおなじみのロゴ。Scott Baker(スコット・ベイカー)氏がデザインし、新しさを強調するため「o」と「s」の間にスラッシュを加えている。古いアーケードゲームの「パックマン」に雰囲気が似ているらしく、「Pac-Man Logo」と呼ばれていたそうだ(図03-04)。
このパックマンロゴの時代には、メッセージを加えたバージョンがあることをご存じだろうか。実際は同社のスローガンとして付けられたタグラインである。1994年から2002年の間は「Where do you want to go today?」というメッセージが加わり、2006年から2011年までは「Your potential. Our passion.」に変更。
そして2011年から先頃まで「Be What's Next.」を使用していた。このメッセージに対し、マイクロソフトのコーポレートコミュニケーション部部長の岡部氏は、「新しいテクノロジーによる変革と未来への挑戦を約束する、マイクロソフトの新しい企業ブランドスローガン」であると述べている(図05~07)。
そして冒頭述べた新しいロゴに刷新し、初めてシンボルを加えた構成に変更したのである。特にシンボルは長年Windows OSのロゴとして見慣れた"旗"をモチーフにしている一方で、Windows 8は青一色のシンプルなものに変更されたことを踏まえると、四色の"旗"をWindows OSだけではなく企業全体のカラーに昇格させ、次々とリリースする製品を表現しているのだろう(図08~09)。
我々ユーザーからすれば、さしたる意味を持たない話だ。しかし、2012年後半から来年にかけて、Windows 8を筆頭に次期Officeなど次々と新製品をリリースる予定である。ロゴの刷新は同社各製品に対する意気込みの表れなのだろう。
阿久津良和(Cactus)