(C)2010真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん」製作委員会・毎日放送

映画の名セリフは時としてビジネスにも有用!というコンセプトのもとに、映画やドラマ、コミックの名セリフを紹介する本コラム。今回は、昨年TBS深夜で放送され、映画も公開間近!借金地獄に堕ちていく人々の姿がえぐみのあるタッチで描かれるTVドラマ『闇金ウシジマくん』をご紹介!

「人並み以下のクセに人並みに暮らしてる、身の程知らずのクズどもに終止符を打つのが……俺達闇金の仕事だ!!」

と言い放つのは、主人公であり闇金「カウカウファイナンス」の社長、丑嶋馨。言ってることはわかるけど……まさに鬼! で、銀行はおろか消費者金融すら頼りにできぬ債権者を追い込み、また追い込むのです。

例えば夜逃げに失敗した債権者を事務所に呼び出し、「裸じゃ外に逃げらンねェ」からとブリーフ1枚に! 銀行口座やプリペイド携帯を債権者名義で作らせ、裏稼業の人間に売って借金(利息込)を回収したのです。

「人の脳天めがけて金属バットをフルスイングできる」との伝説を持つ丑嶋は、実に冷酷だからこそ情に流されず金を搾り取れる、つまり利益を作れるのです。では私たちも、弱肉強食のビジネスで勝つ鉄則を、丑嶋馨から教わりましょう!

「客を人間と思うな! 同情したら金にならねェ」

まず、元ホストで入社したての高田に丑嶋が発した一言がこれ。離婚調停中でパチンコ狂いの主婦に売春行為をススめ、それを「ネタ」にゆすって相手が得る予定の慰謝料をもかすめ取ろうとした丑嶋に、高田が「罪悪感とかないンスか」と聞いた時の答えです。

あなたはどうでしょう? 「客だって人間だ!」と思いますよね? でも、仕事である以上、どうしたって「利益」を得ることが求められるでしょう。それを丑嶋は、本音をむき出しに伝えているわけであります。なんともわかりやすい言葉です。貸した金を回収するだけでなく、慰謝料までもむしり取るのです。ちなみに、別の場所ではこうも言っています。

「強い国は弱い国から奪い、資本家は労働者から奪い、政治家は国民から奪う。世の中は奪い合いだ。奪るか奪られるかなら、俺は奪る方を選ぶ!」

おー、怖い。

(C)2010真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん」製作委員会・毎日放送

また、『闇金ウシジマくん』では、お金にまつわる意外な真実が数多く紹介されています。例えば、電車などで見かける「借金をクリアにする」といった旨の法律事務所の広告。多重債務の整理をすべく相談に行くと、その先どうなるか。カウカウファイナンスへの来客の一人が「弁護士報酬の取り立てが法律を盾に金融よりキツインですょ~」と、こぼしています。もちろん、広告が出されているすべての法律事務所が該当するわけではありませんが、世の中のカラクリの一部が垣間見えるワンシーンかも! ちなみに、丑嶋は、

「エビでタイつれなきゃ広告費なンて出さねーっつーの!」

どうでしょう? 街にあふれる広告への見る目が、少しは変わったでしょうか。逆に、広告は、「タイを釣る(=効果が出る)広告」を打つべきだと再確認できますよね。巷にあふれるビジネス雑誌でも、「仕事のある人に仕事が集まる」、「仕事は忙しい人間に頼むべし」なんていう言葉が並んでいます。「融資」という「エビ」で「返済金額および利息などのプラスアルファ」という「タイ」を釣らんとしている丑嶋も、その主張に頷いているみたいですよ。

「結局金だ! 金がある所に金が集まる。金のねェ奴はとことん絞られ、尊厳まで奪われる」

ビジネス雑誌にあるような「忙しくあれ!」、「忙しい振りをしろ!」というようなアドバイスも、あながち嘘ではないのかもしれません。とはいえ、ここで紹介された台詞をどう捉えるかは、もちろんあなた次第。「丑嶋と自分とでは生き方が違いすぎる」というのも一つの考え方です。

最後に丑嶋の恐ろしさを表す一言をご紹介します。ある日、カウカウファイナンスに多重債務を抱えたOLさんがやって来た時のことです。「借金まみれのあの女からどうやって金を回収するンスか?」と不思議に思う高田に、丑嶋は目を細め口角をあげます。

「若い女ならいくらでも回収する方法はある! いくらでもな!」

いくらでも……。丑嶋と債権者の強烈すぎるぶつかり合いは、いよいよ映画化され8月25日から全国ロードショーも始まります。原作チェック済みの方も、ドラマファンの方も、これは見逃せませんね。

※TVドラマ「闇金ウシジマくん」はVIDEOストアにて、9月10日まで期間限定配信となります。