景気低迷でIT各社の苦戦が続く欧米市場だが、打開策とすべく中国市場での攻勢を強めているのが台湾HTCだ。同社は主力としていたスマートフォン市場でAppleやSamsungといった強力なライバルとの戦いで苦戦しており、成長市場だった先進国での伸びしろは限界が見えてきているのがその理由だ。

HTCの中国戦略については米Wall Street Journalが報じている以前もマイナビニュースで紹介したように、現在台数ベースで世界最大のスマートフォン市場の1つが中国となっている。拮抗する米国ではスマートフォンユーザーの比率が半数を超えているのに対し、中国市場における主力は従来のフィーチャーフォンであり、まだまだ伸びしろがある。このため、Appleを含む各社は中国での展開に非常に力を入れている。

HTCでは大きく業績の伸びた2000年代後半、米国ならびに欧州市場を中心とした戦略を採っていた。これがスマートフォン市場ならびにHTC躍進の原動力となっていたが、一方で競争の激化や欧米市場の停滞が始まると、一転して守勢に立たされることになった。現在、HTCの世界市場シェアはピーク時だった2011年第2四半期の10.7%からおよそ半減しており、この打開策として急伸してきたのが中国市場だ。同社によれば、今年2012年の中国市場における同社の端末販売台数は1億5000万~1億7000万台程度だが、これを2015年までに倍の3億台程度まで引き上げる計画だという。WSJによれば現在、中国におけるスマートフォン市場は25%でSamsungがトップ、次いでHuaweiの12%、Nokiaの11%、ZTEの11%、Lenovoの8%が続き、HTCは9位の2.6%になるという。以前の中国レポートと比較しても1年程度で大きく順位や数字が変動しているが、それだけチャンスのある市場だということを意味している。

(記事提供: AndroWire編集部)