医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営するケアネットは大学病院勤務医674人に対し、時間治療(クロノテラピー)に関する調査を実施した。
「時間治療」を知っていたのは、大学病院勤務医の3人に1人
臓器や組織の時刻依存的な機能性に着目し、治療効果を高めて副作用を小さくとどめるよう、一日の中の“時刻”を意識して行う治療法が「時間治療(クロノテラピー)」だ。
あらゆる臓器や組織の機能性が、「サーカディアンリズム」と呼ばれる周期で時刻依存的に毎日の調節を受けているとされ、こうしたメカニズムから「どの時間帯にどのような疾患リスクが高まるか」といったことが徐々に分かってきた。
こうした考えから病気の治療に“時間のものさし”の視点を導入し、「治療効果を高め、副作用を小さくとどめるように一日の中の“時刻”を意識して行う治療法」が、「時間治療」として注目されている。
副作用の起きない範囲で大量に抗がん剤を投与するのが基本とされるがん治療に加え、腎臓疾患、そのほか糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病においても、時間治療の効果および活用方法が研究されている。
本調査は、がん治療のほか、糖尿病・高血圧など生活習慣病においても効果・活用方法が研究されつつある現状に対して、医師への認知度や活用実態を尋ねたものだ。
「時間治療を知っているか」との問いに「知っている」答えたのは34.0%。知っている医師のうち、時間治療の考え方を治療に採り入れているとした医師は16.6%(全体の5.6%)で、抗がん剤治療のほか、降圧剤の服用時間を夜間にするといったコメントが寄せられた。
採り入れていない医師からも「今後の研究結果次第では積極的に取り入れたい」との声が多く見られた。「自分の専門分野では対象外だと思う」と回答した医師は9.6%。また「抗がん剤使用は夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから夜勤看護師の協力は得にくいと思われる」といった、実施する上での環境面の制約を挙げた声も見られた。
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