1962年の創立以来、動物たちが繰り広げるメルヘンタッチな作品『昆虫物語みなしごハッチ』やリアルな近未来感が魅力のSF作品『科学忍者隊ガッチャマン』、エンタテインメント性溢れる「タイムボカン」シリーズなど、数々のヒット作で日本のアニメ界を牽引してきたタツノコプロの創立50周年を記念した展覧会「タツノコプロテン」が、2012年8月8日より20日の期間、東京・銀座の松屋銀座8階イベントスクエアにて開催される。

東京・松屋銀座にて「タツノコプロテン」が開催中

創業者・吉田竜夫氏や九里一平氏が描いた迫力の肉筆原画や『科学忍者隊ガッチャマン』『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』のアニメ制作に使用された設定画、『ハクション大魔王』や『マッハGoGoGo』のセル原画など、タツノコプロが保管してきた貴重なアニメ関連資料から厳選された約300点を一挙に展示。展覧会場デザインは、ブックデザイナー・祖父江慎氏が担当している点も注目される。

「タツノコプロテン」の一部を紹介

開催スタートとなった8月8日には、オープニングセレモニーが開催され、タツノコプロの代表取締役社長の田中修一郎氏、アニメ監督・笹川ひろし氏、キャラクターデザイナー・吉田すずか氏のほか、「タイムボカンシリーズ」の音楽を支えた山本正之氏、タツノコ作品を彩った、小原乃梨子、肝付兼太、神谷明、梶裕貴、大久保瑠美といった声優陣、そして「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」のエンディングテーマを歌った甲本ヒロトらが出席した。

オープニグセレモニーでは、笹川氏が、創業者の吉田竜夫氏とディズニースタジオに行った際に、自分たちももっともっと大きくなるように頑張ろうと、ホテルで語り合ったエピソードなどを披露しつつ、タツノコプロ50年の歩みを懐かしく振り返り、「タツノコプロテン」が開催されたことに感謝の言葉を述べた。また、「ぶたもおだてりゃ木にのぼる」というおなじみのフレーズを合図に、ゲスト全員でのくす玉割りが行われると、会場は笑いとともに大きな拍手で包まれた。

(写真左より)タツノコプロ代表取締役社長・田中修一郎氏、笹川ひろし氏、梶裕貴、山本正之氏、大久保瑠美、吉田すずか氏、小原乃梨子、甲本ヒロト、肝付兼太、神谷明、日本テレビ上席執行役員・城朋子氏

セレモニー後の会見にて、『ヤッターマン』のドロンジョなど3悪トリオの悪女役を演じた小原乃梨子は、「本当にすばらしい内容で、堪能いたしました。皆さん観に来てくださるとうれしいです」と「タツノコプロテン」を絶賛。「(C)小原で、『スカポンタン!』『や~っておしまい!』」と、タツノコ作品での一番好きなセリフを披露し、「これがいまだにウけていて、あちらこちらから声が掛かります(笑)」と笑顔を見せた。

『逆転イッパツマン』のコン・コルドー役や『樫の木モック』のコオロギ役などを演じた肝付兼太は、自身の出演した初期の作品を振り返りつつ、一番好きなセリフは「のび太のくせに~」と一ボケ。昔のことなのでセリフはあまり覚えていないとしながら、神谷明と一緒に仕事をした際、「この人はまあ初々しくてね(笑)」と当時を思い出し、懐かしんでいた。

「新人のころに大変お世話になった」という神谷明は、『タイムボカン』や『けろっこデメタン』、『科学忍者隊ガッチャマン』など、数々のタツノコ作品に出演しているが、「『未來警察ウラシマン』で、非常にカッコいい二枚目をやらせていただき、『主役を食っているんじゃないか』と言われてすごくうれしかった」というエピソードを披露した。

くす球割りの様子

タツノコプロ50周年作品として制作された『一発必中!! デバンダー』で、主人公・春風一馬役を演じる梶裕貴は、「今日改めて『タツノコプロテン』を拝見させていただき、うれしい思いとともに、身の引き締まる思いがした」と述べ、『デバンダー』の作中で、「ぽちっとな」というセリフを言えたのがうれしかったと笑顔を見せ、「『デバンダー』が、小さな子どもたちがタツノコプロの作品に興味を持つ新しいきっかけになってくれればうれしい」と語った。

一方、同じく『一発必中!! デバンダー』で主人公の妹・春風サクラ役を演じた大久保瑠美は、「お母さんと一緒に観ていたころの思い出が、『タツノコプロテン』を周りながら思い出されました」と語り、50周年目の作品に出られたことにうれしさを感じつつ、「またタツノコさんの作品に関われるよう、役者として一生懸命に頑張っていきたいと思います」と決意を新たにしていた。

「タイムボカンシリーズ」の音楽を担当し、数々の名曲を生み出した山本正之氏は、「1975年の夏に、スタジオで吉田竜夫社長(当時)や笹川監督など7、8人の方と車座になり、ストーンヘンジみたいに(笑)、その真ん中に私が座って、生ギターでタイムボカンの歌を聴いていただきました」と当時を振り返り、「それから37年経って、この場に立っていることを本当にうれしく思います。時間はずっと繋がっている、そしてこれから未来も繋がっていくと、深く信じております」と語った。

「タツノコプロテン」を内覧するゲスト陣

「僕はタツノコプロが誕生した翌年に生まれたので、まさにタツノコに育ててもらった子どものひとりです」という甲本ヒロトは、タツノコ作品に関わりつつも、今回はファン代表として姿を見せており、「僕が最初にもらったニックネームが"グズラ"でした。今でもグズラな自分は僕の中にいると思います。そしてその後、僕はロックが好きになるんですけど、ロックの音楽と山本正之節が僕の中でひとつになって来たんだなと思い、感慨深いです。ここに立っているだけで恐縮で……お礼を言いに来ました。ありがとうございます」と喜びを隠せない様子で、「初めてのあだ名がグズラで、両親は悲しかったかもしれないけど、僕はうれしかった。そして岡山の田舎から東京に出てきたときに、僕を遠くから励ましてくれたのは、大ちゃんだったんですよ。『いなかっぺ大将』の風大左衛門。何か、ピンチのときとかに助けてくれるんです」とタツノコプロ作品に対する熱い想いを語った。

また「タイムボカンシリーズ」の中で好きな曲を問われた甲本は、「ありすぎて、これっていうのは言えないです」と前置きしつつ、あえてナンバーワンはとの問いかけに『タイムボカン』の挿入歌「チュク・チュク・チャン」を挙げ、実際に口ずさんでみせる。そして、タツノコ作品とロックの共通性は? という質問には、「僕はいろいろな音楽のジャンルを分けて考えないので、よくわからないです。全部同じです。好きなもののひとつです、どちらも」と答えていた。

ヤッターワンを囲んで

タツノコプロ50周年記念展覧会「タツノコプロテン」は、2012年8月20日(月)まで、松屋銀座8階イベントスクエアにて開催。開催時間は10時~20時(最終日17時閉場、入場は閉場30分前まで)。入場料は一般1,000円、高大生700円、中学生以下無料となっている。

なお、タツノコプロ50周年記念作品『一発必中!! デバンダー』は、キッズステーションにて、9月22日(土・祝)の午後2時00分~午後2時30分、および9月23日(日)の午後7時00分~午後7時30分に放送予定。また、タツノコプロの創立記念日にあたる2012年10月19日には、タツノコプロ50年の歴史や資料を編集した豪華記念本と『デバンダー』ブルーレイ・ディスク版がセットになって、角川書店より発売される予定となっている。詳しくは『一発必中!! デバンダー』の公式サイトをチェックしてほしい。

さらに、キッズステーションでは、同じく9月に『タツノコ50周年記念 KIDSセレクト1話見せ!! ~16作品総選挙~』が放送予定。タツノコプロの数多くの作品から、キッズステーションがセレクトした16作品の1話を放送し、その中から、視聴者の人気投票で選ばれた作品が、後日、全話放送される予定となっている。こちらの詳細はキッズステーション公式サイトにて。