後半は緻密な作業との戦い
後半の7工程では、DC-INケーブルやディスプレイ部と本体をつなぐLCDケーブルの接続、ファンやHDD、バッテリーなどを本体に取り付けていく。コネクタを嵌めるスペースが小さく、全体的に細かい作業が多い印象だ。特に無線LANモジュールのコードは細く接続部も小さいが、接続に強めの力が必要で、加減が難しい。
後半の工程(30分)
- DC-INケーブルの接続
- ファンの取り付け
- LCDケーブルの接続
- カメラ、ワイヤレスLANの取り付け
- HDDの取り付け
- バッテリーの取り付け
- ロアカバー、ゴム足の取り付け
DC-INケーブルの接続。手前から見て奥側が赤いケーブルとなるようにつなぐ |
ファンの取り付け。細かい作業が続くが、参加している子供はスタッフの手助けもあり上手く進めていた |
LCDケーブル(写真中央銀色の部品)の取り付け。上から押さえてはめ込む |
カメラケーブルとワイヤレスLAN(無線LAN、WiMAX)用の部品を取り付け |
HDDの取り付け。HDD用のスペースにきっちり取り付けられる。振動防止や絶縁のためかスポンジを付けたビニールを上からかぶせる |
バッテリーの取り付け。後はロアカバーとゴム足の取り付けを残すのみ |
いよいよ完成が近づいてきた。ディスプレイにかけられていたカバーを外し、組み立て自体は一旦終了する。ここから本体に電源コードを接続した後、参加者全員で電源オンまでのカウントダウンを開始。スライドに映されたカウントダウンに合わせ、宇佐美社長の掛け声とともに、参加者が一斉に電源を投入。筆者が組み立てたパソコンを含め、最終的には全員のパソコンが無事に起動した。
起動したパソコンは、イベント開始前に撮影した参加者の写真が壁紙に設定されており、参加者からは歓声と拍手が起こった。これはBIOSの設定が必要なため、島根富士通工場内での特別なサービスとなる。後日参加者に届けられるのは、通常の壁紙に戻したものだ。
組み立て完了後は工場内を見学
パソコンの組み立て後は、若干の休憩を挟んで島根富士通の工場を見学。島根富士通では、アジア、アメリカなど、オーストラリアなど、国内・世界含めて毎年200万台強のノートPCを製造しているが、このうち店頭モデルは4割程度で、約6割がBTOモデルとなる。
ノートPCの組み立ては工場の2F。工場内でのノートPCの製造は、プリント基板の状態から始まり、1ライン上で最終出荷テストまで行う。機種にも寄るが、1ラインには大体9~17人程度の現場作業員が付いて、流れ作業で組み立てていく。
去年は稼動している製造ラインの見学がメインだったが、今年は参加者がいくつかの工程を実際に体験できる「スタンプラリー」を新しく実施した。
スタンプラリーでは、例えば電動ドライバを使ったパソコンのねじ締め競争や、高温・低温の環境下でパソコンの耐久性をテストする「チャンバー」(小部屋)へ入り温度を当てるクイズなど、ノートPCの組み立てに必要な作業をクイズ形式や競争形式で紹介する体験型の学習が楽しめた。
参加者は計6コーナーで組み立てで行っている作業をゲーム感覚で体験し、体験後にはスタンプを押してもらえる。各コーナーでは、実際の製造ラインで各工程で作業に携わるスタッフが参加者を出迎えていた。
各コーナーでは実際に工場で組み立て作業に携わるスタッフが、自分の担当するコーナーを説明していた |
低温・高温の環境下でパソコンの耐久性をチェックする「チャンバー」にも入室。手前の部屋は低温で0度、奥は高温で40度(湿度約80%)。この環境で2週間稼動させることで、ノートPCを約1年半使用した場合とが同等の効果が得られるという |
パソコン作りの楽しさを知ってほしい - 現場が自発的にアイデアを
「前々から準備はしていましたが、前日の16時まで現場のラインは動いていたので、今回のスタンプラリーで使ったスペースは一晩で作りました。見学だけでなく、実際に触ってパソコンの楽しさを知ってもらおうと、現場のスタッフがいつも自発的にアイデアを出しますね。イベントで使ったソフトやパネルも全部自分たちで作りました。現場担当として、自分の工程を競ってアピールするようです(笑)」と、富士通のパーソナルビジネス本部第一PC事業部事業部長の仁川氏は語る。
アンケートによると毎年参加者の満足度は高く、今年は「工場の見学より体験の方が楽しかった」という声もあったという。