「Nexus 7」はAndroid 4.1 Jelly Beanを搭載した初のタブレットになった。Jelly Beanは、スムースかつ反応よく動作するようにチューンナップされ、またAppleのSiriとも競合する新サービス「Google Now」をサポートする。
動作に関して、Jelly Beanは確かになめらかだ。ただ、驚くほど快適に動作するわけではない。これまでAndroidデバイスには、動画再生や写真の表示を軽快にこなせても、OSの操作の端々にひっかかりが感じられることがあった。それがJelly Beanで解消された。Jelly Beanのパフォーマンス向上はNexus 7を手にとってすぐに分かるようなものではないが、しばらく使っているとOS全体に安定した動作が行き渡ったことを実感できる。
Nexus 7は、Chromeを標準ブラウザとする初のAndroidデバイスでもある。NexusでChromeを採用したということは、Googleは将来的にAndroidのWeb UIフレームワークにChromeのエンジンを採用するつもりなのかもしれない。それを期待しているユーザーも多いと思う。しかし、SunSpider 0.9.1を実行したところ、こうした期待に応えるような数値をChromeは出せていない。
Nexus 7ではFirefox(=1600、Chromeは1720)のほうが、トータルスコアが良く、Nexus S (Jelly Bean)では「Androidブラウザ (2850)>Firefox (2990)>Chrome (3150)」である。ちなみにiPadでChromeの数値が非常に悪い(=7300)のは、iOS版ChromeがV8エンジンを搭載しておらず、かつiOSのJavaScriptエンジン"Nitro"にアクセスできないためだと考えられる。
SunSpiderの結果だけでモバイルブラウザの優劣が決まるわけではないが、AndroidでChromeとなれば、誰もが"最速ブラウザ"を得たと思うだろう。Google謹製のタブレットであるNexus 7ならなおさらだ。Chromeには多様なデバイスで同じブラウザ環境を利用できるというメリットがあるし、Nexus 7上でChromeが特に遅いというわけでもないのだが、Chromeがモバイルブラウザをけん引するような存在になっていないのは寂しい。今後の進化に期待したい。