「低コストでボトルネック解消」 - 中規模オフィスの構成例

中規模オフィスとしては、従業員100人超の環境を想定する。フロア数は4、端末数は150台程度としよう。これまでの例と同じく、各フロアにプリンタを1台ずつ設置する。前述の例とさほど変わらないように思えるが、接続端末数が増えると留意すべき点も増えるので注意が必要だ。

  • オフィスは4フロア
  • ネットワークに接続する端末は150台程度
  • フロアごとに40台程度
  • PC(1000BASE-T)
  • ノートPC(1000BASE-T、IEEE802.11a/b/g)
  • ネットワークプリンタ(100BASE-TX)
  • ファイルサーバとしてNAS(容量5Tバイト以上)を導入
  • データの冗長性を特に重視
  • サブネット構成
  • フロアごとに最大2つのサブネットに分割
  • NASは専用のサブネットに設置
  • FTTHでインターネット接続を行う

上記の要件を踏まえたネットワーク構成例が以下の図である。コンセプトは、「低コストでボトルネック解消」だ。

図5 : 中規模オフィス ネットワーク構成例

図6 : 中規模オフィス ネットワーク構成例(論理構成)

表3 : 中規模オフィスネットワーク構成機器

機器名 メーカー型番 台数 単価(税抜) 小計(税抜)
Prosecure UTM150 - 1 128,000円 128,000円
マネージスイッチ GSM7328Sv2 GSM7328S-200AJS 1 578,000円 578,000円
スマートスイッチ GS748T GS748T-400JPS 4 148,000円 592,000円
無線LAN AP WNDAP360 - 8 23,500円 188,000円
ReadyNAS Pro4 リミテッドエディション 8Tバイトモデル RNDP4420D-100AJS 2 オープン価格
(参考価格:144,000円)
288,000円
合計 1,774,000円
※ Prosecure UTM150およびWNDAP360は国内未発売製品のため、米国での販売価格(税別)を1ドル約78円で換算して記載している。なお、両製品はワールドワイドで実績豊富であり、国内での発売も期待されることから構成例に加えている。

中規模オフィス構成例の特徴

これまでの例でも言及してきたが、今回のようなクライアントPCの多い環境ですべてを1000BASE-Tで接続すると、スイッチ間のリンクやNASのリンクがボトルネックになってしまう可能性がある。この問題を解消する手段としては、10Gbpsのポートを利用するというのが真っ先に思いつくものだろうが、残念ながらそれではコストが嵩んでしまう。

そこで今回採用したのは、リンクアグリゲーションで1000BASE-Tのリンクを集約するという方法。こうすることで、コストを抑えつつボトルネックの解消が図れる。

ReadyNASは2つの1000BASE-Tのポートを持ち、リンクアグリゲーションで負荷分散できる。スイッチ間は4つの1000BASE-Tのリンクをまとめた構成としている。このようなリンクアグリゲーションを行うために、コアのスイッチとしてマネージスイッチ 「GSM7328Sv2」を採用する。1000BASE-Tのポートを24ポート備え、オプションで最大4ポートの10Gイーサネットポートを搭載することも可能だ。また、VLAN間のルーティング機能も備え、高速なVLAN間通信を実現できる。

サブネットの構成は、1つのフロアで最大2つのVLANが存在するので、スイッチ間はリンクアグリゲーションでリンクを集約しつつ、IEEE802.1QタグVLANで複数のVLANのトラフィックを多重化できるようにする。

また、今回は他の構成例に比べると1フロアあたりの従業員数が多く、フロアが広くなっているため、無線LANアクセスポイント「WNDAP360」はフロア当たり2台としている。

ReadyNASに関しては、バックアップも含めて2台の構成とした。X-RAID2によって1つの筐体内でのデータの冗長化を行いつつ、さらにもう1台の筐体にデータを複製しており、より万全な運用体制をとっている。なお、ReadyNASには「ReadyNAS replicant」と呼ばれるアドオンがあり、一方のReadyNASのデータを別のReadyNASに簡単に複製できるだ。

この構成例では、これまでの構成例よりも設定が多少複雑になる。マネージスイッチとスマートスイッチ間のリンクアグリゲーション、IEEE802.1QタグVLANの設定がポイントになるだろうが、ネットギア製品ではWebベースのGUIで設定できるのでそれほど敷居が高いものではないだろう。

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以上、本稿では、SOHO、小規模、中規模の3種類のオフィスの構成例を考えてきた。あくまでも大まかな要件に基づいた構成例だが、ネットギア製品だけでさまざまな要件に対応した、さまざまな規模のネットワークを構築できることがおわかりいただけただろう。

なお、本稿では触れなかったが、ネットギアでは現在、シャーシ型のハイエンドスイッチ製品「XCM8800」シリーズもラインナップに加えおり、大規模な企業ネットワークにも対応できる環境が揃えられている。

また、今回のようにネットワーク機器のベンダーを統一すれば、サポートの窓口を一元化できるなどのメリットが生まれる。さらにネットギア製品であれば、それを安価に構築できるといった利点も付いてくるので、新規オフィスの開設やネットワーク機器のリプレースの際には検討してみるとよいだろう。