ワールドワイドのネットワーク製品市場においてシェアを伸ばし続けているネットギア。以前に掲載した米NETGEAR 会長兼CEOのパトリック・ロー氏のインタビュー記事でもお伝えしたとおり、同社製品にはコストパフォーマンスが高く、製品開発サイクルが速いといった特徴があり、欧米からアジア諸国まで広く受け入れられている。

しかし、開発スピードの速いネットギア製品はラインナップも多岐にわたる。個人/SOHOオフィスを対象としたものや、大規模な企業ネットワークを意識したものなど、さまざまな製品があり、中小企業などのシステム担当者の中には、自社の環境に最適な製品を選ぶのが難しいと感じている方もいらっしゃるのではないだろうか。

そうした担当者をサポートするべく、本稿では、オフィス規模別のネットワーク構成例を示しながら、それぞれのニーズに適したネットワーク製品をピックアップしていこう。取り上げるオフィスの規模は、「SOHO」、「小規模」、「中規模」の3種類。いずれも一般的な要件を整理したうえで、その要件を満たす構成例を挙げているので、製品選びの参考にしていただけるはずだ。

「手軽でコストパフォーマンス重視」 - SOHOオフィスの構成例

まずは、SOHOオフィスの構成例から紹介していこう。

一般に、「SOHO」と呼ばれるオフィスで働く従業員は数名程度だろう。したがってPCの数は多くても10台あれば足りるはず。そのほかに必要なのは、プリンタ1台と共有ファイルサーバ1台程度で、あとはインターネットにさえ接続できれば問題ないというケースがほとんどではないだろうか。

こうした要件を整理すると以下のようになる。

  • オフィスは1フロア
  • ネットワークに接続する端末は10台程度
  • PC(1000BASE-T)
  • ノートPC(1000BASE-T、IEEE802.11a/b/g)
  • ネットワークプリンタ(100BASE-TX)
  • ファイルサーバとしてNAS(容量2Tバイト)を導入
  • サブネット(オフィス内で管理用に分割するネットワークの単位)は1つ
  • FTTH(Fiber To The Home : 光ファイバー通信)でインターネット接続を行う

以上を踏まえた標準的なネットワーク構成例が以下の図である。コンセプトは、「手軽でコストパフォーマンス重視」だ。

図1 : SOHOオフィス ネットワーク構成例

図2 : SOHOオフィス ネットワーク構成例(論理構成)

表1 : SOHOオフィスネットワーク構成機器

機器名 メーカー型番 台数 単価(税抜) 小計(税抜)
BBルータ WNDR4500 WNDR4500-100JPS 1 オープン価格
(参考価格:19,800円)
19,800円
アンマネージスイッチ JGS516 JGS516-300JPS 1 26,800円 26,800円
ReadyNAS Pro2 リミテッドエディション
2Tバイトモデル
RNDP2210D-100AJS 1 オープン価格
(参考価格:61,000円)
61,000円
合計 107,600円

SOHOオフィス構成例の特徴

上記の構成例について少し補足しておく。

まず、「ブロードバンドルータ WNDR4500」をインターネットへのゲートウェイとして利用している。同製品は、SPI(Stateful Packet Inspection : パケットの内容とセッションの状態を照らし合わせて正常な通信かどうかを判定する技術)のファイアウォール機能およびNAT機能を持っており、LANからインターネットへのセキュリティを確保できる。

また、WNDR4500のLAN側のポートは1000BASE-Tに対応しているので、ファイルサーバの「ReadyNAS Pro2」と1Gbpsの接続が可能だ。また、WNDR4500は無線LANのアクセスポイント機能(IEEE802.11b/g/a/n)も備えるので、無線LANインタフェースのあるノートPCなどを社内LANへ接続させることができる。

この構成では、有線のイーサネットインタフェースを持つPCは、アンマネージスイッチ「JGS516」に接続して社内LANへ参加するかたちになる。JGS516は1000BASE-Tのポートを16ポート備えており、PCからReadyNASまで1Gbpsの通信が可能だ。

なお、本構成の懸念点としては、複数台のクライアントPCが同時にReadyNASにアクセスして大容量のファイルをアップロード/ダウンロードすると、経路上のネットワークコネクション(1000BASE-T)がボトルネックとなりパフォーマンスが低下する可能性がある。ただし、クライアントが10台程度なので、NASへの同時アクセスの頻度もそれほど多くないだろうから、データサイズが極端に大きいものを大量に扱う業務などを除いて、通常の利用であればパフォーマンスの低下をそれほど心配する必要はないだろう。

ちなみに、このネットワークを構築する上では、各機器に対して難しい設定を行う必要はない。特にJGS516に関しては設定不要で利用できる。WNDR4500、ReadyNAS Pro2もウィザード形式で基本的な初期設定を行うだけなので、専任者のいない環境でも導入が可能だ。

なお、金額は参考価格であり実際に購入する際は、さらに割安になっている。取扱い販売代理店やオンラインショップでは、記載金額の約6~8割程度で購入できるようだ。また随時実施されているキャンペーン等を利用すればさらにコストセービングすることができる。導入の際は、ぜひ調べていただきたい。