米Googleが自ら手がけた初のAndoridタブレット「Nexus 7」。出荷開始から1週間で、Google Playストアから16GBモデルの在庫がなくなってしまった。どの程度の数を用意していたか分からないため、これだけで出足を評価することはできないが、実際に手にした人たちのレビューは称賛に次ぐ称賛である。

ニューヨークタイムズでDavid Pogue氏は「タブレットにおいてGoogleが抱えていたニワトリとタマゴの問題を解決してくれそうだ。ユーザーが増えれば、素晴らしいアプリが作られるようになり、映画や音楽の権利を持つ企業がGoogle Playストアに参入するようになるだろう」と述べ、SlateでFarhad Manjoo氏は「(7インチタブレットを否定した) Steve Jobsが間違っていたことをNexus 7は証明した」としている。

本稿では、2回にわたり、Nexus 7の使い勝手についてレポートしていく。まずはハードウエアの仕様・デザインをチェックしていこう。

前面にハードウエアボタンが一つもないシンプルなデザイン

Nexus 7は、7インチのIPS液晶、4コア・1.3GHz動作のTegra 3プロセッサを搭載。8GBと16GBの2つのモデルがあり、価格はそれぞれ199ドル(約15600円)と249ドル(19500円)だ。Androidの最新版"Jelly Bean (v4.1)"を搭載し、Googleのクラウドサービスを存分に利用できるNexus 7を安価で提供することで、Googleはタブレット市場におけるiPadの独占を崩し、Amazon.comとAppleが争うクラウド型のデジタルエンターテインメント市場にGoogle Playを食い込ませようとしている。以下の表でNexus 7と第3世代iPad、Kindle Fireの主な仕様を比較しているので、確認いただきたい。

機種 Nexus 7(8GBモデル) 第3世代iPad(16GB Wi-Fiモデル) Kindle Fire
ディスプレイ 7インチ IPS(1280×800: 216ppi) 9.7インチ IPS(2048×1536: 264ppi) 7インチ IPS(1024×600: 169ppi)
プロセッサ Tegra 3(4コア: 1.3GHz) A5X(2コア: 1.0GHz) OMAP 4430(2コア: 1.0GHz)
メインメモリ 1GB 1GB 512MB
保存容量 8GB 16GB 8GB
無線 Wi-Fi/Bluetooth Wi-Fi/Bluetooth Wi-Fi
カメラ 120万ピクセル(フロント) 500万ピクセル(リア)/VGA(フロント) なし
そのほか マイク/スピーカー/NFC/GPS マイク/スピーカー/デジタルコンパス スピーカー
サイズ 198.5×120×10.45ミリ 241.2×185.7×9.4ミリ 190×120×11.4ミリ
重さ 340グラム 652グラム 413グラム
価格 199ドル 499ドル 199ドル

筆者は8GBモデルを購入した。クラウドサービスとの組み合わせで本当に8GBで満足できるかを検証しようと、あえて8GBモデルを入手したのだが、今は16GBモデルにしておけば良かったと心底後悔している。仕事うんぬんではなく、プライベートで手放せなくなっているからだ。毎日使い続けるならストレージは大きい方がいい。

Nexus 7がタブレットの決定版だとは思わない。相変わらずiPadとスマートフォンも使っている。だが、電車で移動する時、寝転がってWebブラウジングする時など、10インチ・タブレットのiPadや小さなスマートフォンではなく、Nexus 7が一番と思えるときがある。Googleはタブレット市場の現状と消費者をよく研究したのだと思う。同じ7インチのKindle Fireは「タブレットとしては画面が小さすぎるし、スマートフォンのように携帯できない」というデメリットを浮き彫りにしたが、Nexus 7からは「スマートフォンより画面が大きく、手に持っていて疲れないコンパクトなタブレット」というメリットが伝わってくる。「長時間、手に持って使える手頃な価格のタブレット」という7インチ・タブレットの存在意義を、Nexus 7はうまく示している。

はじめて起動すると、まず言語の設定

次にGoogleアカウントでサインインすると、すぐに使えるようになる。現在GoogleはNexus 7購入者にGoogle Playストアの25ドル分のクーポンを提供しており、セットアップが完了するとアカウントの残高に加算される

背面はすべりにくいラバーのような触感で、厚すぎず、薄すぎない程よい厚みだ。ごく微妙なカーブと凹みが施されていて、横向きにした時に指がかかって持ちやすい。IPS液晶は視野角が広く、発色もまずまずだ。iPadのRetinaディスプレイ(264ppi)ほどではないものの、1280×800 (216ppi)の画面は粗さを感じさせない充分な解像度である。

右側に電源オン/オフ・ボタンと音量ボタン。背面はすべらず、指のかかりが良くて持ちやすい

左側にはマイクの穴と4ピン・コネクタ。背面のnexusと彫られたあたりにNFCセンサーがある