夏の風物詩として人気の肝だめし。カップルで遊園地に遊びに行ったときに、女性から、おばけ屋敷に行こうと提案される男性もいるかもしれません。しかし、男性でも怖いものが大の苦手……という人もきっと多いはず。日本男児たるもの、かよわい女性の前でかっこ悪い姿は見せられません。こういうピンチはどう切り抜ければよいのでしょうか。心理学者の内藤誼人先生にこっそりアドバイスをいただきました。

逆説的ながら、「カッコつけない」のが正解

「男性にはプライドがあるので、女性に怖がっている姿を見られたくないという心理がありますよね。そういう“見えっ張り”な気持ちは、とてもよく共感できます。しかし、ですよ、私なら、こういうときは“あえて思いっきり怖がって、逆にみっともない姿をさらけ出してしまうのもアリ”だと思っています」(内藤先生)

えっ!?怖がっているところを見せたくないんですが、逆に見せてしまうわけですか?

「お化け屋敷に入る前には、『僕はオバケが大嫌いなんだ』『俺は臆病で、小心者なんだ』と、あらかじめ告白してしまうのです。大丈夫です、評価は下がりません。むしろ、彼女は“親しみやすさ”を感じて、かえってプラスに働きます」(内藤先生)

ふ~む、たしかに、そう言われればそうかも…。

「さらに、『オバケが怖い』と告げているわけですから、自然な流れとして『怖いから手をつないでもいい?』と持ちかけることもできますよね。つまり、彼女とスキンシップまでできるんですよ、しかも合法的に。こんなにいい作戦は他にないと思いますよ」(内藤先生)

なるほど、「災い転じて福となす」という日本語は、こういうときに使う表現なのですね。

好印象をあたえるタッチング効果

怖がりであることを見せてしまえば自然な流れでスキンシップまで可能。しかも、こういうスキンシップは、心理学的には「タッチング効果」と呼ばれるそうで、内藤先生は、サンフランシスコ州立大学のコリン・シルバーソーンによる興味深い実験を紹介してくれました。

「男女をペアにして、15分間の会話をしてもらいました。実験参加者は60名の大学生。ただし、ペアを組まされる男女は、あらかじめ実験者に仕組まれたサクラです。このサクラの男女は、半分の30名の人には、自己紹介のときや会話中に、相手の腕にさりげなく触れることになっておりました(タッチング条件)。残りの30名の人には、会話中に一度も相手に触れることはありませんでした(コントロール条件)。15分が経過したところで、実験参加者に『パートナーの人物と、どれくらいデートをしたいですか?』と尋ねてみると、タッチング条件の被験者は、「ぜひデートしたい!」という回答が多くなったそうです。相手の手に触れるというのは、非常に効果的なんですね」(内藤先生)

もちろん、タッチングといっても、手や腕くらいにしておくのが無難。あまりベタベタと触りすぎるのも逆効果になるので注意が必要とか。

彼女から、「お化け屋敷に行ってみよう!」と誘われたときには、チャンスです。こんなチャンスを逃す手はありません。怖がりであることを公言して、堂々と彼女とスキンシップしてみてみるのはいかがでしょうか(文・栄城)