カナダのResearch In Motion (RIM)は7月19日(現地時間)、BlackBerry 10 Developer Toolkitsに関する最新アップデートを発表した。新API追加のほか、BB10向けBlackBerry App World Vendor Portal開設でアプリ登録の受け付け開始など、新プラットフォーム移行に向けた準備が整いつつある。

今回追加されたBB10向けの新規APIは「Application Invocation Framework」「Push APIs」の2つ。前者のApplication Invocation FrameworkはBB10プラットフォームのネイティブ機能を呼び出すことが可能にするもので、例えばHTML5/CSS+JavaScriptアプリ開発に利用するBlackBerry 10 WebWorks SDKからBB10のネイティブ機能呼び出しが可能になるなど、アプリ開発のベースとなる。RIMによれば、サンプルコードも多数用意されているという。またjQuery Mobile、Sencha、RIMのbbUI.jsといったオープンソースの開発フレームワークと組み合わせることも可能で、HTML5アプリ開発を支援する。後者のPush APIsは、WebWorksやAdobe AIRにおいて、コンテンツのプッシュ配信機能をサポートする。Application Invocation FrameworkについてはAdobe AIRからの利用も可能で、Androidアプリ向けにはIn-App Payment、カメラ、マルチウィンドウ対応のAPIも供与される。個々の詳細については、HTML5AndroidAdobe AIRのそれぞれのBlog投稿の内容を参照のこと。

ネイティブアプリ開発環境もさらに整備されており、C/C++やQt向けのBlackBerry Cascadesアプリケーションフレームワークでは、"ピンチ"操作によるズーム機構や、その他UI面での機能強化をサポートしている。またBlackBerry 10 Native SDKでは新たにNFCや暗号化、Audio Manager、Slogger2、Notifications Managerといった機能向けのAPIの提供も開始されている。詳細についてはNative Development for BlackBerry 10を参照のこと。

これらを踏まえたうえで、新たにBlackBerry App World Vendor Portal for BlackBerry 10がRIMによって開設されており、開発者によるApp WorldでのBlackBerry 10アプリ登録が可能になっている。以前に配布されているBlackBerry 10 Dev Alphaのテスト機を使ってアプリの動作テストを行った後、アプリを同ポータル上で共有したり、互いにテストを行える。ただし、RIMは5月末に行われた2011年度第4四半期(2012年2-4月期)決算報告において、BlackBerry 10プラットフォームの提供時期が2013年第1四半期にずれ込むことをアナウンスしており、こうした開発者らの成果が実際に実を結ぶにはまだ半年以上の期間を要することになりそうだ。