落語家の桂三枝が16日、上方落語の大名跡・桂文枝の6代目を襲名し、大阪・なんばグランド花月で披露公演を行った。

襲名披露公演を行った桂三枝改め6代目 桂文枝 拡大画像を見る

公演では東京から三遊亭圓歌、桂歌丸、上方からは桂春團治、笑福亭松之助、笑福亭仁鶴、桂ざこばと東西落語界を代表する大看板が口上を述べ、“6代 桂文枝”の門出を祝った。文枝の師匠で先代の故・5代目 桂文枝と上方落語の復興に力を注いだ春團治は「先代の筆頭弟子にあたる三枝くんが6代目を襲名するのは本当にめでたいこと。これからは『6代目といえば文枝』と言われるようにがんばっていただきたい」と激励。文枝はそうそうたる顔ぶれの中央で頭を下げ、神妙な面持ちで祝福の言葉に耳を傾けていた。

このあと、襲名後初の高座を務めた三枝は「生まれて初めて口上の真ん中に座らせてもらいました。噺家になって初めてです。舞台の上でしゃべらなかったのは。もうしゃべりとうてしゃべりとうて…(笑)」と軽妙な"枕"で笑わせ、襲名の舞台に合わせて作ったという新作の創作落語「さよならサニー」を披露。マンションへの引っ越しを機に、家族同様に暮らしてきた愛犬・サニーを手放さざるを得なくなった男の悲哀を描く人情噺で、超満員の観客を魅了した。

口上には、三遊亭圓歌、桂春團治らそうそうたる顔ぶれが揃った

"サニー"は若手のころから親しまれてきた三枝時代のニックネーム。終演後、会見に臨んだ文枝は「“桂三枝”とここで決別するんだ、という思いで作ったネタ。最後にスッキリと"三枝"と別れられたかなと思います」と新作に込めた思いを。「ですが、“三枝”はみなさんに育ててもらったもの。僕としては、三枝が文枝にパワーアップしたという思い。三枝を大事に胸にしまい込んで、これからは文枝として腕を上げていきたい」と意気込みを語った。