シービーアールイーは11日、2012年第2四半期の全国13都市オフィスビル市場動向を発表した。調査対象は、同社が独自設定した全国183ゾーン内にある延床面積500坪以上の賃貸オフィスビル。グレードAビルとは、オフィス集積度の高い地域に所在する基準階面積350坪以上(東京500坪以上)、貸付総面積6,500坪以上、延床面積1万坪以上、築11年未満のものを指す。
それによると、今期の東京23区は、グレードAビル5棟を含む17万坪という2003年以来の大量供給により需要が刺激され、新規需要は5年ぶりに6万坪以上を記録。しかし、大量供給に需要が追いつかず、需給バランスが一時的に緩んだ結果、グレードA空室率は対前期比3.9ポイント増の10.3%、23区全体の空室率も同0.7ポイント増の7.9%となった。
グレードAビルの想定成約賃料は、対前期比100円増の2万9,900円/坪で、底打ちの兆しが認められる。
同社執行役員でビル営業本部エグゼクティブマネージングディレクターの渡辺善弘氏は、「グレードAビルの足元の空室率は一時的に最高水準まで上昇しているが、これは大量供給に伴い予め想定されていた。今期も需要は堅調でグレードA賃料は既にほぼ底を打っており、足元の企業マインドからも、今後は需給の改善とともに、緩やかに横ばいから上昇に向かうと考えられる。23区全体では、都心部で一定面積が確保できる値ごろ感のある価格帯の空室が希少化している一方、企業の拠点統合ニーズは依然高いため、今後まとまった面積が確保できる物件の賃料が上昇に向かう可能性がある」と分析している。
一方、大阪市は、市全体の空室率が対前期比0.2ポイント減の10.0%、グレードA市場の空室率が同1.1ポイント減の10.8%と、ともにやや回復。グレードAビルの想定成約賃料は、1万8,650円/坪でほぼ横ばいとなった。新規供給がない中、耐震性能の優れたビルや非常用発電の機能を備えたハイグレードビルへの引き合いが高まり、既存ビルの空室消化が進んでいるという。
名古屋市では、市全体の空室率は8期連続低下し、11.8%。これは、駅前で計画されている複数の大型ビルの建て替えや、拠点統廃合に伴う移転を中心に需要を吸引したためと考えられる。グレードA空室率については、対前期比0.5ポイント増加したものの3.1%と低水準を維持しており、グレードA想定成約賃料も、ほぼ横ばいの2万2,200円/坪となった。
このほかの地域については、さいたま市、京都市、福岡市、広島市などでテナントニーズに合致する機能性の高いビルの空室在庫が希少化しており、受け皿不足による需要の潜在化が懸念されている。
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