作家・宮本輝の小説『草原の椅子』が、主演・佐藤浩市で映画化されることが8日、明らかになった。
映画『草原の椅子』に出演する佐藤浩市(中央)、西村雅彦(左)、吉瀬美智子 拡大画像を見る |
宮本が1995年に発生した阪神・淡路大震災で自身の家を喪ったことをきっかけに、シルクロード6,700km、40日間に及ぶ苛酷な旅を体験。何もない荒涼とした大地を前に人の生き方や品性などについてを考え、大阪を舞台に"人間力のある大人"を描いたのが『草原の椅子』だ。
佐藤が演じるのは、カメラメーカーの営業局次長として働くサラリーマン・遠間憲太郎。すでに妻とは離婚しており、20歳になる娘と一緒に暮らしていたが、取引先である「カメラのトガシ」の社長・富樫との間に友情が芽生え、互いに本音を語り合う中で、2人はこれからの人生をどう歩んでいくのかを模索していくようになる。あるとき、2人は不思議な写真と出会い、なにもない草原に椅子がぽつんと、ただそれだけの写真なのになぜか心に突き刺さる。その写真に桃源郷を見た4人は、自分たちの未来を探すため「世界最後の桃源郷」と呼ばれるフンザへと旅立つ決意をする。共演は、富樫を演じる西村雅彦、遠間が密かに想いを寄せる篠原貴志子役の吉瀬美智子ほか。
監督は、『八日目の蝉』(2011年)で日本アカデミー賞作品賞・監督賞を受賞した成島出、エグゼクティブプロデューサーは『戦場のメリークリスマス』(1983年)、『乱』(1985年)、『武士の家計簿』(2010年)などを手掛けてきた原正人が務める。
映画化にあたっては、舞台を東京へと変え、6月30日にクランクイン。8月から1カ月半に渡り、パキスタン・イスラム共和国において、フンザ、カリマバード、スカルドゥ(北部地区)ほかで2カ月間にわたる長期撮影に臨む。公開は2013年春を予定している。