長きにわたり現れては消えてを繰り返してきた「小型iPad」に関する噂だが、最近になってより具体的な情報とともに報道されるようになってきた。まず米Bloombergが、次いでWall Street Journalが関係者からの話を立て続けに報じており、それによれば7~8インチサイズ程度の"iPad mini"が今年10月までに発表されることになるという。
iPad mini (仮名)はこれまでにも何度も噂が出ている。昨年末のReutersの報道のほか、サプライヤからの情報でAppleがiPad miniのプロトタイプをテストしているとの報道が今年2月にWSJによって行われている。それらに続く最新の情報は中国系サイトで7月初旬に出回り始めたもので、Apple Insiderなどが「7.85インチのIGZOディスプレイを採用したiPad miniが250~300ドルの価格レンジで登場」という形で伝えている。この情報の信憑性自体はそれほど高くないものの、これを皮切りに別の情報ソースを基にした報道がBloombergやWSJといった大手メディアによって報じられたことで、iPad mini登場の可能性そのものは高くなったといえるだろう。
両報道の内容を総合すると、iPad miniのサイズは7~8インチのレンジであり、量産開始は9月、発表は10月までに行われるという。スケジュールから考えれば、10~11月が発売時期となり、主にホリデーシーズン商戦をターゲットにしてくるとみられる。また以前にWSJが「ディスプレイ調達先はLG DisplayとAUOの2社で、解像度は従来のiPadと同じXGA (1,024×768)ベース」と報じていたように、Bloombergも「解像度は従来水準」としている。この考えはApple InsiderもJohn Gruber氏の「大量生産向け」という意見を引用する形で支持している。
今回のiPad miniで予測できるのは、Appleが「調達コストを極力抑えて低価格路線を模索する」方策を採っている可能性がある点だろう。iPadは最低価格が500ドルというタブレット市場のプライスリーダーとして長らく君臨しているが、最近登場したAmazon.comのKindle FireやGoogleのNexu 7といった7インチタブレットは「200ドル」という低価格が特徴であり、iPad miniはこの市場と競合するラインの製品となる可能性がある。ゆえに、先ほどの250~300ドルという価格帯はあながち外した予想ではないのかもしれない。
またiPadに関しては別の噂もある。台湾Digitimesによれば、Appleはバッテリや熱処理部分を改良してより薄型化し、レンズ穴をより大型化した改良版の第3世代iPad (The new iPad)を今年のホリデーシーズン商戦までに市場投入する意向だという。Digitimesに関しては最近信頼性の低い情報ソースが多く、Apple関連の話題では不確かな情報を流して市場を混乱させることがあるが、こういう話題もあるということで心に留めておくといいかもしれない。