富士通は5日、パソコンを組み立てながら基礎知識を習得できる新サービス「パソコン組立体験サービス」を発表、8月に提供を開始する。同日に開催した記者発表会では、関係者らがサービス開始の背景や詳細について語ったほか、サービスのデモも行なわれた。
なお、サービスの概要については別記事をご参照いただきたい。
「パソコン組立体験サービス」は、同社が毎年親子向けに開催してきた「富士通パソコン教室」で培った"PCの組み立て・説明"ノウハウをキット化し、パソコン教室や旅行パッケージなどを通じて全国展開するもの。ターゲット層は、親子やシニア層、パソコンに詳しくない初心者などを想定する。
サービスの提供先はパソコン教室や旅行代理店となるが、学校や自治体コミュニティを利用した利用も想定する。サービス提供の第一弾として、8月9日に旅行会社ティー・ゲートによる親子向けの企画「富士通×旅の発見」を提供。ほか、パソコン教室「アビバ」や同社のPC教室「富士通オープンカレッジ」など、全国に展開していく予定だ。
主な収益はパソコン教室での展開となり、現在は1クラス10人をめどに、講師1名・技術スタッフ2名の構成で、年間100クラス程度を予定する。料金は組み立てる機種によってばらつくが、現状では、店頭価格から25,000円~35,000円アップした程度を想定。下は約10万円前後~となる見込みで、これはパソコン部品のキットや工場での検査料(後述)、3年間の保証サービスなどを含んだ料金となる。
実際に組み立てられる機種は同社のA4ノート「LIFEBOOK AH」シリーズ、一体型デスクトップ「ESPRIMO FH」シリーズ、分離型の「ESPRIMO DH」シリーズ、シニア向けの「らくらくパソコン」シリーズの計19機種(スペック変更可)。組み立ての工程は、AHシリーズの場合で15部品・24工程で、「場合によっては30部品60工程などもあるかもしれないが、現段階ではこの工程。機種の構成や量によって変わってくる」(パーソナルビジネス本部 リペアサービス統括部 シニアディレクターの中藤慶一郎氏)という。
なお、当面は作成したパソコンを1度工場に戻し、量産機と同等の出荷検査を行なった上でユーザーに再出荷する。これは「その場で持って帰りたい気持ちはもちろんあると思うが、こちらも不慣れな部分があるのに加え、ねじ締めの甘さなど何かあった時のため」(同統括部長の福世正志氏)に、現段階ではこの措置をとる形だ。
思い出作りや学びだけでなく、トータルなユーザーサポートを提供
福世氏はサービス開始の背景として「パソコンをもっと身近なものにしたい」「国内サポートの充実」「思い出作りなどの付加価値」の3点に言及。最大の理由として、親子向けに開催してきた「富士通パソコン教室」が、毎回キャンセル待ちになるほどの盛況である点を挙げ、「話を聞いていると、シニアの方でもパソコンの組み立てをやりたい、という意識がある」と説明した。
また、リペア(修理・修復)サービスを提供する上で、ユーザーがパソコンの知識を持つとトラブル解決に役立つとした。「例えばHDDは実際どのような動きをしているか、どこを気をつけたらよいのかなど、パソコンをもっと知って欲しい、もっと身近な存在にしたいという思いが詰まったサービス。パソコン購入サイクルの新しい付加価値として、組み立てを通じて楽しい思い出や学びなどが得られる。購入からアフターサービスまでトータルでサポートしたい」と新サービスへの思いを語った。
プレゼン内では、実際の組立工程のデモが行なわれた。講師を担当する男性のほか、一般ユーザーに近い、パソコンの構造に不慣れな女性が生徒役を担当。静電気対策からLCDユニットの取り付け、ねじ締めの順番など、技術者が丁寧に解説する場面が見られた。