クォーツでしかできない機能や便利さを提供したい、という思想
―― そういえば、9時位置のインジケーターも初の装備ですね。これは、レーシングマシンのフューエルゲージ(燃料計)のようなイメージでしょうか。
(岡本氏)「まさにそうです。H-M-Lのゲージはバッテリ残量を表していて、HはHigh、MはMiddle、LはLowの略。その下のYes-Noは電波受信の成否です。チェックボタンを押すと針が動いて、いつでもバッテリ残量と電波受信の結果を示してくれます。このタイプのバッテリインジケーターは、従来のEDIFICEはもちろん、OCEANUS(オシアナス)にも搭載されていない機能です。
EQW-A1000にもバッテリ残量を知らせる機構はありますが、このようにユーザーがいつでもチェックできる仕組みではなく、バッテリ残量が少なくなってくると秒針の動きが2秒間隔(2秒ステップ)になるんです。こうして従来の機種は、針の動きによってローバッテリーを知らせています」
―― それはそれで、よく考えられていますね。
(岡本氏)「そうですね。でも、やっぱり知りたいときにボタンひとつで確認できたほうが便利だろうと。あと、ストップウオッチも機能が向上したポイントです。まず、中央の時針、分針、秒針を使って、分、秒、1/20秒を表現できるので、判読性が高いこと。計測値の確認にインダイヤルを見る必要がなく、一般的なアナログストップウオッチと同じ感覚で使うことができます。
また、メモリできるラップの数も増えました。EQW-A1000では5本でしたが、EQW-A1100は10本のラップメモリが可能です。ラップメモリのリコールは、スマートアクセスを採用しているので、りゅうずでスムーズに操作が行えます」
ストップウオッチモード時、右下のボタンを押すたびにラップタイムが計測される。ラップナンバーは、6時位置のインダイヤル下部ゲージに対応 |
クロノグラフは計測するための時計であり、その視認性を重視していることを、36mm(ガラス外形)と大きめのフェイスが物語っている |
EQW-A1100のストップウオッチは、初めて使う人でも簡単に使いこなせそうだ。特に、ストップウオッチの1/20秒針が、通常の時刻表示でセンター秒針としてきちんと駆動するのがいい。いわゆるセンタークロノでは、この針はストップウオッチの秒計測専用で、通常の時刻表示では動かない。それは解っている人には常識的なものだが、シンプルに「カッコイイ時計がほしい」という理由でクロノグラフを買った人には、衝撃の事実だったりするのだ。筆者も「そういうものと知るまでは、秒針が壊れているのかと思った」という話を幾度となく耳にしたことがある。
(荒井氏)「センタークロノのほうがクロノグラフらしくていい、というユーザーもいます。ただ、せっかくクォーツなのだから、クォーツでしかできない機能や便利さを提供したい、というのがカシオの時計づくりの思想です。通常時もセンター針が動いたほうが便利ならそうしよう、と。ちなみに、EQW-A1100ではワールドタイムモードでもセンター針を有効に駆動させています」
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