3日ほどMacBook Pro Retinaを利用しての感想だが、描画パフォーマンスに対する懸念はほぼ払拭された、と言っていい。画素数が2,880×1,800ピクセルを超えた静止画を表示し、拡大/縮小を繰り返しても、HD品質の動画をフルスクリーンで再生しても、ストレスは感じなかった。

ただし、それはPreviewやQuickTime PlayerといったCocoaベースのアプリケーションだったからだ。それ以外のフレームワークに依存するアプリケーションは、文字やボタン類にジャギーが発生する「非Retina対応」となる。言い換えれば、いわゆるCocoaなど主要フレームワークはすでにRetina対応を完了しているからこそ、文字(フォント)やボタン/スライダーといった各種コントロールは、写真を見ているかのような解像感となるのだ。

先日公開されたOS X 10.7.4システムアップデートでは、一部のアプリケーションに1,024×1,024ピクセルという画素数が従来比4倍のアイコンが収録されていたため、高精細ディスプレイ搭載Macの発表が近いことを確信していたが(関連記事)、一方では"粗"が目立つかも、という懸念があった。実機を見ないかぎり確信できなかったため、触れずにおいたが、今回のレビューでそのイヤな予感が的中してしまった。

その"粗"とは、高精細化が未完のビットマップデータが残ってしまうこと。たとえば、Finderの「AirDrop」を使いファイルを転送するとき、相手のアイコンの周囲にプログレスバーが表示されるが、この部分は高精細化されていないため、若干ジャギーに見えた。

Cocoaベースではないアプリケーションは、そのままではRetina環境に対応しないため、文字にジャギーが生じることがある。細かいところは実寸の拡大画像でご確認いただきたい

AirDropでファイルを送受信するときの円状プログレスバーをよく見ると……高精細化されていないことがわかる

高精細化の作業は、おそらく相当なボリュームがあるもので、システムフォルダ(/System/Library)だけを見てもかなりの数がある。膨大な数があるアイコンイメージ、プログレスバーなど各種の表示効果、それらが多数のフレームワークやKEXTに分散しているのだ。だから画像のひとつやふたつ、見落としがあっても不思議ではない。

システムフォルダに存在するアイコンの大部分は、1,024×1,024ピクセルに高精細化されている

システムフレームワークに収録されたビットマップ画像の多くは、ファイル名末尾に「@2x」が付く高精細化版を用意しているが……

前述したとおり、サードパーティー製品を含めるとRetina未対応のアプリケーションは多数存在する。しかしこれも時間が解決すること、早期の対応を楽観的に待ちつつ、Retinaディスプレイの精細な絵を満喫するほうが得策だろう。

15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル
CPU Intel Core i7 2.3GHz(4コア) Intel Core i7 2.6GHz(4コア)
メモリ 8GB(1600MHz DDR3L)、BTLで最大16GBに増設可
ディスプレイ 15.4型 IPS液晶(2,880×1,800ピクセル/220ppi)
グラフィックス Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵)/NVIDIA GeForce GT 650M(1GB GDDR5)、自動切替可
ストレージ 256GB SSD 512GB SSD
光学式ドライブ なし
通信機能 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n対応)
インタフェース USB 3.0×2、Thunderbolt×2、HDMI×1、FaceTime HDカメラ、Bluetooth 4.0
カードスロット SDXC
サウンド機能 ステレオスピーカー、デュアルマイクロホン、ステレオヘッドホン兼オーディオライン出力(デジタル/アナログ)
本体サイズ/重量 W358.9×D247.1×H18mm/2.02kg
バッテリー駆動時間 最長7時間(最大30日間のスタンバイ)
OS OS X Lion(v10.7.4)
Apple Store価格 184,800円 238,800円