CAVジャパンの「BuruTta(ブリュッタ) BRT-G1」(価格:オープンプライス 推定市場価格:6,980円前後)はiPhone等のスマートフォンからBluetooth経由でオーディオを転送し、床やテーブルなど、直接接地面を振動させスピーカー代わりにしてしまうユニークなバイブレーションスピーカーだ。
見た目もご覧の通りユニーク。竹を割ったようなデザインで、斜めになった本体上部にiPhoneをはじめとした各種スマートフォンを装着できるようになっている。接地面には特殊シリコン製フォルダープレート「スマピタ」が機器をしっかりホールドしてくれる。スマートフォンを装着してみるとどこかペットのような愛おしさを感じさせ、スタンド型のちょっとしたオブジェとして見ても面白い。また、本体の重量は450gとややずっしりしており、本体底面の振動伝達部にもシリコンゴムが貼り付けられ吸着するので、スマートフォンを装着した状態でテーブルに設置しても安定感がある。
では早速接続から試聴までを行ってみよう。
設置は簡単! Bluetooth非搭載機器でも使用可能!!
まずは本機をオフィス等によくあるような木製天板デスクに設置した。次に、本体入力スイッチをBluetoothモードに設定。すると「ピポパポ」とかわいいサイン音が鳴ると同時にブルーのLEDランプが点滅をし始め、ベアリング(接続待機)状態に入ったことを知らせてくれる。続いてiPhone側の設定を行おう。「設定」から「一般」をタップし、Bluetooth画面を開き、デバイス「BRT-G1」がリストアップされているのを確認して接続。すると今度は接続成功を知らせる「プルルル」という音が鳴り、LEDランプは点灯状態となる。これだけで設定終了。後は音楽を再生するだけだ。
オーディオミニジャック入力端子も用意されているので、Bluetooth非搭載の各種音楽プレイヤーでも楽むことが可能。本体と音楽プレイヤーとの接続は付属のケーブルを使用し、「DC/AUX IN」にminiUSB端子を接続する。なお、「DC/AUX IN」を使用した場合、LEDランプはオレンジ色に変わる |
本機のスペックには「定格出力5W、S/N比80dB以上、新開発の振動機構により20~20kHzと広い音域再生を可能」とあるので、低域から高域までバランス良く含まれた打ち込みもの楽曲ファイルをチョイスしてiPhoneのボリュームを最大に、本機のボリュームスライダーをひとまず真ん中辺りに調整し、再生してみた。まず耳に飛び込んできたのは豊かな低域。直接接地面を振動させるだけあって、特にベースドラムの臨場感は結構なもので、さらに本体のボリュームスライダーを上げていくと、机に置いてあったコップの水も揺れ出した。手でテーブルに触れてみると、振動がブルブルとダイレクトに身体に伝わってきてこれが中々面白い。試しに音楽を再生させながら本体を机から離してみると、蚊の鳴くような音がシャカシャカと鳴るだけで思わず耳を疑ったが、それだけ本機の振動伝達による増幅効果が高いということだろう。
ただ、低域の迫力は十分であるものの、高域のヌケが今ひとつな印象。それにL、Rに分かれたスピーカーのような、いわゆるハイファイ・ステレオ感を望むことはできない。とは言っても、このように音の振動そのものを直接体感できるのが本機の魅力である。説明書にも「振動により壁伝いに音が伝わりやすい為、近隣住民の迷惑にならないよう注意してください」という注意書きがあることからも、そのコンパクトな見た目からは想像できない音の迫力を感じることができる。
設置する場所によって鳴りが変わる! 材質による音の変化を楽しもう!!
では、設置場所を変えて鳴りの違いを確認してみよう。今度はガラス天板のテーブルで試してみた。先程の木製天板に比べ、楽曲の輪郭がクリアになり、ヌケの悪い印象が改善された。もちろん天板のサイズや形状、テーブルに置いてある物による鳴りの違いも考慮しなければならないが、材質による音の違いは明かだ。
今度は設置場所をテーブルから、フローリングの床へ移してみた。すると、本機を中心として振動が波紋状に広がり、床全体から音楽が聞こえてくる。テーブルに置いた時と違い、足下から振動が伝わってくるので、クラブやライヴハウスで体感する迫力を、少し思い起こさせる。カーステレオで聞くウーファーによる音場感と言えばやや近いか。いずれにせよ、前述の注意書きは大げさではなく、集合住宅での使用には、注意が必要かもしれない。
本機の楽しさにすっかり魅了されたので、手当たり次第に部屋の家具や柱、壁、窓ガラス、本棚等々、様々な場所に置いたり、押しつけたりして試聴してみたが、それぞれの材質や形状の違いにより、鳴り方が全く違う。特に面白かったのは洋服タンスの扉で、押しつけるとタンス内部の空間と共鳴して迫力ある音圧が部屋全体を包み込み、少し感動してしまった。もちろんこのような使用方は想定されていないだろうが、自分で気持ち良く聞こえる設置場所を色々と探してみるのも良いだろう。個人的には原音忠実性という意味でガラス天板のテーブルが一番だと感じた。
このように本機は底面の振動部から接触するもの何でもスピーカーに変えてしまうので、従来のようにスピーカーの設置場所を気にすることなく音楽を再生できる。本体内にはフル充電で10時間連続再生が可能なリチウムイオンバッテリーが内蔵されているので、例えば料理の際にキッチンの脇に置いて音楽を楽しんだり、ベッドサイドのナイトテーブルで動画鑑賞したり、様々なシチュエーションでその特性を発揮しそう。もちろん室内だけではなく、屋外や外出先での使用も考えられるので、手軽に持ち運んで迫力ある音を体感してほしい。
参考までに、筆者のエレクトロニクスユニット「soyuz project」の楽曲"motion"を使用して、底面を接地させてない状態、木製天板テスク、床(フローリング)、ガラス天板のテーブルで再生した出音をマイクで集音してみた。設置状態により音量、音質の変化を楽しんでみていただきたい。