39年ぶりの共演でがっちりと握手を交わした兜甲児役の石丸博也(左)と不動明役の田中亮一

今年で生誕40周年を迎えるロボットアニメの金字塔『マジンガーZ』の劇場版7作品をコンプリートした、シリーズ初のBlu-Ray『<初回生産限定>マジンガー THE MOVIE Blu-ray 1973~1976』の発売を記念し、『マジンガーZ』の主人公・兜甲児役の石丸博也と、『デビルマン』の主人公・不動明役の田中亮一が20日、東京・麻布十番のアオイスタジオにてコラボCM(7月よりオンエア開始予定)のアフレコ収録を行い、再び共演を果たした。

40年経った今もなおファンから愛されている『マジンガーZ』と『デビルマン』の2作品だが、両者の共演は1973年に劇場公開された映画『マジンガーZ対デビルマン』以来39年ぶりのこと。石丸は「デザインがいいね。くどくないし、すっとしているのにかっこいい。大人でもおもちゃ屋へ行くと"あれ?"って思っちゃうデザインだよね」、田中は「『デビルマン』は夜8時半頃からやっていたアニメだけど、ちょっと色っぽくてエッチな感じもあった。当時としては異例であり、新しさもあり、面白かったんじゃないかな」とそれぞれに作品の魅力を語り、時折当時を懐かしむ様子も見せていた。

本作が上映されていた1973年は、昨今のようにアニメ1本で劇場版が制作されることはなく、数本を集めて春や夏に「東映まんがまつり」としてまとめて公開していた時代。石丸は「大作で2時間やるっていうのは最近の話で、当時はマスコミだって騒ぐわけじゃない。普通のテレビ映画と同じくらいの感覚でやってたよね」と明かし、アニメにまだ日が当たりにくかった当時を振り返る。若手声優自体が非常にまだまだ少ない時代でもあり、田中が「俺らがやってたころは、まだ神谷(明)とか古川(登志夫)はまだいなかったの。もう少し後の話。だから俺が『デビルマン』を"やれた"みたいなもん。少年の声が出せるっていう理由で使ってもらったのね。そういう幸運があることはある」と語ると、石丸は「まぁ時代だよね、今だったら一発でクビだね」とつっかかって報道陣の爆笑を誘った。

また、アニメーターや声優のギャラを上げ、業界の活性化を図るため日本俳優連合にも所属していたという石丸は当時の苦労話も明かす。「アニメ1本のアフレコが3,000円だからね。アルバイトの3,000円は手取りだけど、アフレコはそこから税金や事務所の手数料で4割くらい引かれる。こんなひどい世界はないよ。そのためにストやデモもやってきた。『マジンガーZ』で機械獣に叫んでいた台詞は心の叫びでもあるな(笑)」と冗談めかしていた。

紆余曲折ありながらもここまで声優を続けてこれた石丸。その理由は、やはり好きだということにつきるという。「それしかなかったから。他へ行ったって何もできないから。そこにしがみついて一生懸命がんばるしかなかった。俺みたいな下手なやつでもがんばればうまくできるようになる。好きになればうまくなっていくものだよ」と話し、最後には好きなことだったらなんでもいいから、ずっと続けてみろ!ってことだね。子供たちに言いたいことは……いや、孫にだな」と若者たちへエールを送った。

新たに公開された『マジンガーZ対デビルマン』のイラスト

そして田中は、劇中でマジンガーZのヒロイン・弓さやかが本編最後に語った台詞を引用して「『デビルマンはいつまでも私たちの心の中に生き続けるわ』って台詞があったけどさ、そういう思い。ずっとみんなの中に生きていることがありがたく、幸せだと思います」と最後にファンへの感謝を述べた。

『<初回生産限定>マジンガー THE MOVIE Blu-ray 1973~1976』の発売日は10月21日。本作には、1973~76年に「東映まんがまつり」で上映された『マジンガーZ対デビルマン』『グレートマジンガー対ゲッターロボ』『マジンガーZ 対暗黒大将軍』、そしてスーパーロボットたちが大集合する『決戦! 大海獣』など劇場用オリジナル作品を収録。また、実際のCMで不動明の「珍品・傑作が粒ぞろい!」というナレーションのとおり、ボーナスディスクには、『これがUFOだ! 空飛ぶ円盤』のほか、『ゲッターロボ』や『UFO ロボ グレンダイザー』などブローアップ5作品も完全網羅されている。Blu-Ray化にあたり、新たに擬似5.1ch音声を収録(一部作品を除く)、シネマスコープサイズで製作され、作品をこれまでになく楽しめる内容となっている。

(C)ダイナミック企画・東映アニメーション (C)東映