先日掲載したレポート『中小企業のためのVDI講座(1) 仮想デスクトップ環境って何?』では、仮想デスクトップ環境(VDI : Virtual Desktop Infrastructure)の概要とメリットについて簡単に紹介した。その内容から、VDIがユーザーと管理者の双方に対して業務効率化などの効果をもたらす技術であることがおわかりいただけたと思う。

ただし前回の最後でも触れたが、実のところ、国内でのVDIの導入事例はほとんどが大企業である。というのも、通常のVDIは構築が複雑なうえ、費用も相応にかかるケースが多く、従業員が多数在籍する企業でなければ十分な投資対効果が見込めないためだ。

そんな中、登場した製品が、シトリックスの中小企業向け仮想デスクトップ環境「VDI-in-a-Box」である。構築が簡単なうえ低価格、それでいてパフォーマンスに優れるといった特徴があり、中小企業の導入障壁となりそうな問題がすべて解消されている。

今回は、VDI導入時の問題に触れながら、この「VDI-in-a-Box」の特徴を簡単に紹介していこう。

VDI導入の障壁1 - 複雑な構築作業

VDIを導入するにあたっての最大の問題。それは構築作業にある。

シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの竹内裕治氏

大規模システムの構築経験をお持ちの方は想像がつくだろうが、実は、一般的なVDIを構築するうえでは、それを実行するサーバを用意しただけでは足りない。別途、共有ストレージやプロビジョニング/管理を行うサーバを設置する必要があるほか、セッション管理を行う「接続ブローカー」と呼ばれるサーバも求められる。

単純にこの構成を揃えるだけでも大変だが、VDIは従業員が日常的に使用するシステムなだけに障害による停止は許されず、設計の際には可用性やパフォーマンスなども考慮しなければならない。検討項目は多岐にわたるうえ、構築した後も入念なテストが必要だ。

「設計から導入まで、長ければ1年以上かかるケースもあります。技術的にも作業工数的にも、中小企業に耐えられるものではないでしょう。これが中小企業における仮想デスクトップ環境導入の最大の障壁となっていました」とシトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの竹内裕治氏は語る。

VDI-in-a-Boxの最大の特徴は、こうした問題を回避できる点にある。中小企業での利用を意識した同製品はオールインワンの製品構成になっている。管理ソフトウェアや接続ブローカーの機能をあらかじめ同梱。サーバ内のストレージを利用する仕組みで、SAN(Storage Area Network)などの共有ストレージも不要だ。

一般的なVDIのシステム構成とVDI-in-a-Boxのシステム構成

VDI-in-a-Boxは簡単な環境で構築できる

また、ハードウェアに関しても特別なものを用意する必要はない。廉価版のサーバ機で十分に対応でき、サーバ1台あたり最大50クライアント程度対応可能だ。

サーバーサイジングの目安となるリファレンスを用意しているので、導入検討作業も円滑に進めていただけるはずです。また、50以上のクライアントで利用する場合も、100台使いたいならば2台、200台使いたいならば4台と、スケールアウト的にサーバを増やしていただければ問題ありません」(竹内氏)

後からユーザーが増えた場合も、サーバを増やすことで対応ができるため、スモールスタートが可能。最初はお試しで使ってみたいというユーザーにも適している。

VDI導入の障壁2 - 膨大な導入コスト

上記のような特徴を持つVDI-in-a-Boxは、導入にかかる費用も当然低く抑えられる。ネットワークが揃っている環境であれば、必要なハードウェアはサーバ機だけ。シトリックスの試算では、サーバ1台で50クライアントを利用する場合、1クライアントあたりのハードウェアコストは2万円という。

ソフトウェアで必要になるのは、VDI-in-a-Box、ハイパーバイザー、クライアントOSの3つ。このうち、VDI-in-a-Boxのライセンスは1台あたり2万6000円。ハイパーバイザーは、XenServer、VMware vSphere/ESXi、Hyper-Vに対応するが、それぞれの無料版でも利用可能だ。クライアントOSは、Windowsを利用する場合も、1台あたり1万円のMicrosoft VDAライセンスを購入するだけで済ませることが可能だ。

以上の合計は、1人あたり5万6000円。中小企業でも十分に導入可能な額と言えるだろう。そのうえ、前回説明したとおり、VDIは運用フェーズにおいてコスト削減が期待できる。長い目で見た場合、大きなコストメリットが享受可能と言えるだろう。

※ 各費用は概算です。また冗長性を考慮した構成にする場合は、追加費用が発生します。

VDI-in-a-Box導入コストの見積もり

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中小企業向けの仮想デスクトップ環境あります


中小企業を意識して開発された仮想デスクトップ環境、それがシトリックスの「Citrix VDI-in-a-Box」だ。

Citrix VDI-in-a-Boxは、低価格で設定が容易なオールインワンタイプの仮想デスクトップソリューションです。VDI-in-a-Boxにより規模が小さな企業でも、仮想デスクトップが提供する「コスト削減」、「セキュリティ向上」および「社員の生産性向上」といったメリットを享受できるようになります。

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