組織・人事コンサルティング会社、マーサーの日本法人であるマーサー ジャパンは12日、「2012年世界生計費調査」の結果を発表した。
同調査は、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当てを設定する際に利用されているもの。世界5大陸214都市を対象に、交通費や食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査。それぞれを米ドル換算し、ニューヨークを100とした場合の指数で比較している。
その結果、海外駐在員にとって最も物価が高い都市は「東京」で、昨年の2位からランクアップ。順位を上げた理由としては、円高が影響していると考えられる。以下、2位「ルアンダ(アンゴラ)」(昨年1位)、3位「大阪」(同6位)、4位「モスクワ(ロシア)」(同4位)、5位「ジュネーブ(スイス)」(同5位)と続いた。
一方、最も物価が低い都市は昨年同様「カラチ(パキスタン)」で、最も物価の高い東京の3分の1以下という結果となった。
地域別に見た場合、アジアからは、1位「東京」、2位「大阪」、6位「シンガポール」(昨年8位)、9位「香港」(同9位)、10位「名古屋」(同11位)の5都市がトップ10にランクインしている。
中国からは、16位に「上海」(昨年21位)、17位に「北京」(同20位)が入り、ともに昨年から順位を上げた。
同社のアジア・太平洋グローバル・モビリティー・ビジネスのセンター・オブ・エクセレンスリーダーであるフィル・スタンレー氏は、「物価の上昇と元高が中国諸都市の順位を押し上げています。住宅への高い需要が続いており、賃料の緩やかな上昇を招いています」と分析している。
ヨーロッパについては、ユーロを含む多くの欧州通貨の価値が米ドルに対して下がったことから、ほとんどの都市が昨年より順位を下げた。主な都市では、「オスロ(ノルウェー)」が昨年15位から18位に、「ロンドン(イギリス)」が昨年18位から25位に、「パリ(フランス)」が昨年27位から37位と、いずれもランクダウン。一方、28位の「サンクト・ペテルブルグ(ロシア)」は昨年29位から1つ順位を上げている。
同社プリンシパルで、調査責任者であるナタリー・コンスタンティン=メトラル氏は、「2011年前半のインフレや、VATの引き上げにも関わらず、ヨーロッパの多くの都市の順位が低下しています。これは、ヨーロッパの不安定な経済状況が、米ドルに対する通貨の価値を低下させたことによります。深刻な経済危機に見舞われたギリシア、イタリア、スペインでは、住居費も低下しています」と説明している。
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