5月31日、大橋ジャンクション内大橋換気所屋上に整備されたおおはし里の杜(東京都目黒区大橋1)にて、地元小学生による稲作体験を実施。目黒区立菅刈小学校の5年生37人と首都高速道路の橋本社長が田植えを行った。
地上30mに再現された目黒川の田園風景
これは、首都高速道路株式会社が主催し、実施したもので、今年で2回目となる。渋谷と三軒茶屋の中間に位置する大橋ジャンクションは、首都高3号渋谷線と山手トンネルを結ぶループ状のジャンクションだ。周辺環境に配慮して、ループ部分などを覆蓋化しており、ループ内には換気所が設けられている。
この換気所屋上である地上31~36m部分に整備されたのが、おおはし里の杜だ。地元・目黒川周辺の河岸段丘の原風景を再現させようという趣旨のもと、傾斜部を活かした斜面林や湧水、水田などが整備され、平成23年度の土木学会環境賞(Iグループ)を受賞している。
田植えに参加したのは、大橋ジャンクションに近い目黒区立菅刈小学校の5年生37名。小学生たちははじめに、首都高速道路株式会社の橋本圭一郎社長から「ここはどこだかわかりますか? 横に高速道路が走っています」と場所の説明を受けたのち、東京農業大元准教授の梅室英夫氏による特別講義を受け、稲作について学んだ。
初めての田植え体験にワクワク!
そして午後2時、いよいよ小学生たちは屋上へ。この日はにわか雨が心配されたが、幸い雨は降らず、曇天。強い日差しもなく、田植え作業には最適の気候となった。
はじめに、梅室氏や首都高東京建設局のスタッフらにより、田植えの手本を説明。「田んぼに入るときは、まっすぐではなく横向きに片足から入らないと、すべって転んでしまう」といった「田んぼへの入り方」も、子どもたちには新鮮なことのようだ。
そして、6~7人ずつにわけた班ごとに田植えを実施。はじめは泥の田んぼに入ることに、やや抵抗を見せる児童もいたが、実際に田んぼの中に入ると、すぐにその表情は一変。どの児童も田んぼ独特のぬめりを心地良く感じ、自らの手で稲を植えることに達成感を感じているようだった。
大人も楽しい田植え体験
田植えには、橋本社長も参加。両脇の児童に「大丈夫?」と声をかけたり、レクチャーしながら、植え付けを行った。なお、この日に植えた稲は、千葉県の「ふさこがね」という品種。背が低くて倒れにくいのが特長で、地上30メートルの田んぼということで、強風にも耐える品種として選定されたという。
田植え作業を終えた小学生たちは、足を洗って待機。最後の班が洗い場に行くと、菅刈小学校の長谷豊校長が「お母さん方も、やりましょうよ!」と、観覧に来ていた保護者に呼びかけ、急きょ「大人の稲作体験」も行われた。
最後は記念撮影。足を洗い終わったのに「もう一回田んぼに入りたい!」と熱望する児童も多数おり、数名は実際に田んぼに入って写真に収まることとなった。
昨年に引き続き、田植えを行った首都高速道路の橋本社長。「今回は保護者の方も参加してくれたのが良かったと思う。親子で体験を共有できると思う」と、今回の稲作体験、そしておおはし里の杜の意義を語った。
おおはし里の杜では、これまでに69種類の生き物が観察されており、ハクセキレイやシオカラトンボ、モンシロチョウなどのほか、コサギやメダカなど、都会ではなかなか見られない生き物に出会うこともできるという。
今回植えた稲は、秋に再び菅刈小学校の児童により収穫が行われ、学校給食などで振る舞われる予定だ。
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